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[R8-P-09]Evaluation of Compositional Heterogeneity toward Thermodynamic Analysis of Quartz Eclogite from the Sanbagawa belt, Shikoku

*Shunsuke Ogino1, Yui Kouketsu1 (1. Nagoya Univ. Env.)
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Keywords:

Sanbagawa belt,Quartz Eclogite,Garnet,Pseudosection,X-ray CT

四国中央部三波川帯の権現地域において, 石英エクロジャイトが産出し, エクロジャイト相と緑簾石–角閃岩相の変成作用を受けたと考えられている. Miyamoto et al. (2007)では, 石英エクロジャイトのうちkyaniteが含まれる岩石について, garnet–clinopyroxene–kyanite–phengite–SiO₂温度圧力計を適用し, 石英エクロジャイトが受けたピーク変成条件を2.3–2.4 GPa/675–740℃と推定した. また, 石英エクロジャイトの全岩化学組成は, 玄武岩質の岩石に近いものから, アルコース質砂岩やワッケに近いものまで幅広い組成が報告されており, 実際の岩石組織においても, 石英を多く含む珪質な領域と, オンファス輝石や角閃石を多く含む苦鉄質な領域が確認できる.
本研究では, 全岩化学組成の多様性がある石英エクロジャイトに対して, ザクロ石の組成累帯構造を用いて熱力学解析を行い, 変成ピーク前後の詳細な温度–圧力経路を明らかにすることを最終目標としている. そのために, 石英エクロジャイトの全岩化学組成の違いによる鉱物組合せの変化や岩石組織の不均質性について評価を行った. 分析は, 先行研究の全岩化学組成データを用いてシュードセクション解析を行った. また, 5×4 cmの岩石スラブ面に対してXGT分析を用いた2次元元素マッピングを行い, 含まれる元素と量比から鉱物マップを作成した. また, 3.5cm角の岩石ブロックに対してμ-XCT分析を行い, 3次元の鉱物分布を調べた.
その結果, シュードセクション解析では, 先行研究で報告されているピーク変成条件において, 全岩化学組成のSiO₂値が高い岩石にはkyaniteが安定な鉱物相として含まれるのに対し, SiO₂値が低い岩石ではkyaniteが安定な鉱物相に含まれないことが分かった. この結果は, Miyamoto et al. (2007)で報告されていた全岩化学組成と, その岩石に含まれる鉱物組み合わせとおおむね整合的であった. また, XGT分析による2次元元素マッピングからは, 石英を多く含む領域と, オンファス輝石および角閃石を多く含む領域を区別でき, 両領域における鉱物組合せの特徴を評価した. μ-XCT分析では, ザクロ石, オンファス輝石及び角閃石, 石英を多く含む3つの領域でCT値の違いが見られ, 3次元的な分布を評価することができた. これらの結果から, 石英エクロジャイトの局所的な組成と鉱物組合せの関係や, それらの粒径・量比・形状, 及び境界部の特徴について議論を行う.