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[S3-09]Vertical Variation in Modal Mineralogy and Deformation Style from XCT Image Analysis of Oman Drilling Core Samples

*Takeo Okuwaki1, Katsuyoshi Michibayashi1,2 (1. Nagoya University, 2. Volcanoes and Earth's Interior Research Center, IMG, JAMSTEC)
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Keywords:

peridotite,driliing cores,X-ray Computed Tomography analysis,modal mineralogy,deformation types

オマーン掘削プロジェクト(OmanDP; 2016~2018)[1]では、アラビア半島オマーン王国に分布するオマーンオフィオライトにおいて、地殻–マントル境界を掘削して連続的な柱状岩石コア試料が取得された。これらのコア試料は、すべて地球深部探査船「ちきゅう」に搭載された医療用X線CT装置(Discovery CT 750HD, GE Medical Systems)を用いて撮影され、非破壊的に内部構造の三次元可視化が行われた[2][3]。OmanDPのXCT分析条件は、加速電圧140 kV、電流100 mAである。CT画像は、XY面(コア軸に垂直な断面)では512×512ピクセル(0.176 mm/pixel)の解像度、Z軸方向(コア軸方向)では最大1.4m、1600スライス(0.625 mm/pixel)の解像度で取得された。
X線の減衰強度は、対象物を通過する長さおよびその線形減衰係数(LAC)に依存する。LACは物質の密度と化学組成によって決まり、この減衰の程度はCT画像上でCT値(Hounsfield単位、 HU)として数値化される。CT値は、水の減衰係数を基準(0 HU)とし、空気を -1000 HU、密度の高い物質(例:アルミニウムなど)を数1000HUとする相対的なスケールであり、物質のX線吸収の度合いを表す。OmanDPの参照試料として使用されたアルミニウムのCT値は2450 HUである。XCT画像におけるCT値は、コア中の構成鉱物に対応しており、CT値を用いることで各鉱物の分布や体積比(鉱物モード比)も推定可能である。さらに、スピネルや直方輝石の粒子形状は、初生カンラン岩の変形モードや形状異方性を反映しており、粒子の配向は線構造や面構造を規定し変形構造を特徴づける要素となる。このように、XCT画像は鉱物の割合・分布に加えて、形状や配向といった構造情報も得られる。 
本研究は、OmanDPのBA3Aで回収されたカンラン岩コア試料のXCT画像を用いて、(1)連続的な鉱物モード比のプロファイルを算出すること、(2)粒子形状解析に基づいて、約300 mにわたる変形様式の鉛直変化を明らかにすることを目的とした。
はじめに、入射X線の連続スペクトルから有効エネルギーを算出し、それに基づいてカンラン岩を構成する鉱物の線形減衰係数(LAC)を理論的に計算した[4]。次に、計算された各鉱物のCT値を閾値としてXCT画像を処理し、直方輝石、スピネル、およびメッシュ状組織の領域に分離した。分離した鉱物のボクセル数のカウント結果をもとに、各鉱物が占める割合を計算し、鉱物モード比プロファイルを作成したところ、掘削深度が深くなるにつれて、蛇紋岩化の程度が低下し、直方輝石の割合が増加する傾向が明らかとなった。次に、分離結果の妥当性を評価するため、XCT画像から算出した鉱物モード比とXRD分析による定量結果との比較、さらに鉱物マップと薄片観察画像との照合を行った。さらに、抽出された鉱物粒子に対して形状解析を実施し、変形モードおよび形状異方性を定量化した。その結果、浅部域では変形モードや粒子の形状異方性に不均質性が見られる一方、深部ではこれらが比較的安定していることが示された。
本講演では、得られた鉱物モード比プロファイルおよび変形プロファイルを、密度・地震波速度(Vp)・空隙率・クラック密度などの物性値データ[5]と比較し、それらの相関関係について議論を行う。

参考文献
[1] Kelemen et al., 2020, Proceedings of the Oman Drilling Project.
[2] Okazaki et al., 2021, Solid Earth, 126(12), e2021JB022719.
[3] Akamatsu et al., 2023, Geochemistry, Geophysics, Geosystems, 24(6), e2022GC010792.
[4] Bam et al., 2020, Minerals, 10(5), 441.
[5] Katayama et al., 2021, Tectonophysics, 814, 228978.