Presentation Information
[R1-07]Intensity Tensor and Peak Separation of Mössbauer Quadrupole Doublet of Fe2+ of Amphibole Single Crystal
*Keiji SHINODA1, Machi Maruoka1, Yasuhiro Kobayashi2 (1. Osaka Met. Univ. Sci., 2. KURNS)
Keywords:
Mössbauer spectrum,amphibole,intensity tensor,quadrupole doublet peak
はじめに 角閃石は鉄などの陽イオンが結晶学的に異なる複数のM席を占める多席固溶体である。角閃石に含まれる鉄イオンの状態(価数やM席占有率)はメスバウアースペクトルから推定することができる。角閃石のFe2+, Fe3+はメスバウアースペクトルにおいて四極子ダブレットピークを示す。ダブレットピークは、①アイソマーシフト、②四極子分裂幅、③ピーク半値幅、④ピーク強度、の4つのパラメーターで特徴づけられる。④のピーク強度は、低速度側と高速度側のピークの強度をそれぞれIlとIhとしたときのIh/(Il+Ih)である。粉末試料のメスバウアースペクトルでは、④ピーク強度は1/2として、つまり両ピークの強度は等しいとしてスペクトル解析できるので、①②③のパラメーターを求めることがダブレットピークの形状を決めることになる。しかし単結晶である薄片試料の局所分析の場合、④ピーク強度は結晶方向に対するガンマ線の入射方向に依存して変化するので一般的には1/2とは限らない。ピーク強度は強度テンソルという物理量から計算できる(Fukuyama et al., 2022)。角閃石は複数のM席の鉄イオンのダブレットが重なった複雑なスペクトルを呈する。角閃石単結晶のメスバウアースペクトルを複数のM席の鉄イオンの四極子ダブレットにピーク分離する場合、ダブレットピークのパラメーターの多さから複数の解が求まってしまう場合が多く、複数解の中で最適解の判断が困難な場合がある。このような場合には、ガンマ線の入射方向に対するその薄片の結晶方位から強度テンソルを用いてピーク強度が計算できれば、④のパラメーターを制約できることになる。しかし、角閃石の場合、複数のM席を占めるFe2+の四極子ダブレットの強度テンソルは求まっていない。昨年の発表では長野県信濃境池袋産普通角閃石の単結晶のメスバウアースペクトルを測定し、Fe3+の四極子ダブレットの強度テンソルも算出を試みた。本年は角閃石のFe2+の四極子ダブレットピークのピーク分離と強度テンソルについて報告する。
実験と結果 バックラウエX線カメラとプリセッションX線カメラを用いて、産地不明の角閃石単結晶から4枚の定方位薄片を作成した。これら4枚の定方位薄片を用いて、ガンマ線の入射方向の異なる16方向の単結晶メスバウアースペクトルと、同結晶の粉末試料のメスバウアースペクトルを測定した。いずれのスペクトルもFe2+とFe3+ブレットピークが重なったスペクトルを示した。これらのスペクトルは4組ダブレットピークが重なったスペクトルとみなし、ピーク分離を試みた。ピーク分離にはメスバウアースペクトル解析ソフトウェアMossWinnを用いた。角閃石は広い範囲での固溶体を作り、Ca2+, Na+などのイオン半径の大きい陽イオンはM4席を占め、Fe2+はM1, M2, M3席を占めるので、ピーク分離には3組のFe2+ダブレットピークと1組のFe3+ダブレットピークを仮定した。最初に④ピーク強度を1/2として粉末試料のメスバウアースペクトルのピーク分離を行い、4組のダブレットピークのメスバウアーパラメーター①②③を求めた。粉末試料のピーク分離の解は複数個あった。次に16の定方位単結晶メスバウアースペクトルに対しては、粉末試料から求めた複数のピーク分離解それぞれを用いて、①アイソマーシフト、②四極子分裂幅を固定し、③ピーク半値幅と④ピーク強度を固定せずにピーク分離を行い、ピーク強度を求めた。16組のピーク強度から、Zimmermann, 1975の方法で強度テンソルを求めた。角閃石は単斜晶系に属するので、対称性から強度テンソルは対称テンソルで、IYZとIXZの2つの成分は0と固定でき、また対角和IXX+IYY+IZZは3/2と制約できる。粉末試料から求めた複数のピーク分離解に対応して複数の強度テンソルが求まった。求めた複数の強度テンソルの妥当性を検証するために、独立のIXX, IYY, IZZ, IXY, IYZ, IXZの6つの成分を仮定し、強度テンソルを求め、対称性を考慮した強度テンソルと比較した。
実験と結果 バックラウエX線カメラとプリセッションX線カメラを用いて、産地不明の角閃石単結晶から4枚の定方位薄片を作成した。これら4枚の定方位薄片を用いて、ガンマ線の入射方向の異なる16方向の単結晶メスバウアースペクトルと、同結晶の粉末試料のメスバウアースペクトルを測定した。いずれのスペクトルもFe2+とFe3+ブレットピークが重なったスペクトルを示した。これらのスペクトルは4組ダブレットピークが重なったスペクトルとみなし、ピーク分離を試みた。ピーク分離にはメスバウアースペクトル解析ソフトウェアMossWinnを用いた。角閃石は広い範囲での固溶体を作り、Ca2+, Na+などのイオン半径の大きい陽イオンはM4席を占め、Fe2+はM1, M2, M3席を占めるので、ピーク分離には3組のFe2+ダブレットピークと1組のFe3+ダブレットピークを仮定した。最初に④ピーク強度を1/2として粉末試料のメスバウアースペクトルのピーク分離を行い、4組のダブレットピークのメスバウアーパラメーター①②③を求めた。粉末試料のピーク分離の解は複数個あった。次に16の定方位単結晶メスバウアースペクトルに対しては、粉末試料から求めた複数のピーク分離解それぞれを用いて、①アイソマーシフト、②四極子分裂幅を固定し、③ピーク半値幅と④ピーク強度を固定せずにピーク分離を行い、ピーク強度を求めた。16組のピーク強度から、Zimmermann, 1975の方法で強度テンソルを求めた。角閃石は単斜晶系に属するので、対称性から強度テンソルは対称テンソルで、IYZとIXZの2つの成分は0と固定でき、また対角和IXX+IYY+IZZは3/2と制約できる。粉末試料から求めた複数のピーク分離解に対応して複数の強度テンソルが求まった。求めた複数の強度テンソルの妥当性を検証するために、独立のIXX, IYY, IZZ, IXY, IYZ, IXZの6つの成分を仮定し、強度テンソルを求め、対称性を考慮した強度テンソルと比較した。
