Presentation Information
[R1-12]The occurrence of listvenite in the Sanbagawa metamorphic belt of Central Shikoku region, Japan
*Yohei SHIROSE1, Hikaru Takagaki1,2 (1. Ehime University, 2. FUKKEN CO., LTD.)
Keywords:
listvenite,listwanite,quartz-magnesite rock,Cr-bearing clay minerals,CO2-bearing aqueous fluid
リストベナイト(リスウェナイト; listvenite; listwanite; listwaenite)は交代変質岩の一種である。その定義は著者によって異なり,当初は緑色の含クロム白雲母を含む石英-炭酸塩岩として記載された(e.g., Hall and Zhao, 1978)。その後,炭酸塩化蛇紋岩と滑石炭酸塩岩を含む,炭酸塩化を受けた蛇紋岩全般を指す用語としても使用された(Hansen et al., 2005)。近年では,含CO2水流体との交代作用によって形成された,超苦鉄質岩を原岩とする石英-Mg炭酸塩岩をリストベナイトと呼んでおり,含クロム白雲母の含有は必須条件ではないとされている(Menzel et al., 2024)。本邦では,皆川ら(2008)による三波川帯からの産出報告が最初の報告例であるが,20世紀中頃のニッケル鉱床調査や石英-マグネサイト岩として報告された変質岩の中にはリストベナイトに相当するものが多くある。現在,西南日本に分布するこれらの変質岩について再検討を行うとともに,三波川帯で新たに見出したリストベナイトについて調査を行っており,その成果を報告する。
リストベナイトは,環伊豆地塊蛇紋岩帯では静岡県口坂本(木下・竹原, 1939),蓮華帯では新潟県糸魚川(榎田・白勢, 2025; 橋本ら, 2025)および福井県伊勢(宮川, 1968; 1982),周防帯では山口県金峯鉱山(木下・竹原, 1939),長崎変成岩類に伴うものでは長崎県雪浦(Mori et al., 2007; 西山ら, 2025),朝地変成岩に伴うものでは大分県入蔵(寺岡ら, 1992)などから産出する。三波川帯からはさらに多くの産地が確認できており,中央構造線周辺では長野県金鶏鉱山(五味, 1998),静岡県出馬(Suzuki et al., 1977),愛媛県浦山川,関川,市場川,西谷川,市之川,雨乞西谷川,黒瀬鉱山,志河川,滑川,表川,砥部川(e.g., 皆川ら, 2008; 白勢ら, 2022; Takagaki and Shirose; 2025),大分県丹生鉱山(木下ら, 1958),また御荷鉾ユニット周辺では高知県坂本,徳島県落合(皆川ら, 2008)などが挙げられる。
口坂本,伊勢,入蔵などでは,リストベナイトは比較的規模の大きい蛇紋岩体に伴い,地質図スケールの石英-マグネサイト岩として産出する。一方,四国中部では,中央構造線剪断帯に伴うものや泥質片岩中の小規模な蛇紋岩体に伴うものなど,比較的小規模な産状が多い。
四国中部のリストベナイトは,Takagaki and Shirose (2025)が浦山川から報告したように,蛇紋岩を原岩とする緻密・硬質な塊状リストベナイトと,泥質片岩を原岩とする脆い片状リストベナイト質岩に分けられる。塊状リストベナイトは炭酸塩化蛇紋岩を伴い,漸移的な産状も確認できる。また,初生的な組成に近いコアと蛇紋岩化時に形成されたリムを持つクロムスピネル残晶を含む。塊状リストベナイトは石英とマグネサイトを主とし,少量のドロマイトと含クロム粘土鉱物を伴う。一方,片状リストベナイト質岩は石英,ドロマイト,マグネサイトに加え,含クロムカオリナイトまたは含クロム緑泥石を含み,全岩的にアルミニウムに富み,マグネシウムに乏しい特徴を持つ。さらに,塊状リストベナイトと泥質片岩との境界部や泥質片岩中に産出することから,泥質片岩を原岩として,炭酸塩化蛇紋岩由来の流体と反応して形成されたと考えられる。特に,市場川,表川,砥部川では,中央構造線剪断帯に伴って泥質片岩中に片状リストベナイト質岩が産出するが,その周囲に塊状リストベナイトや炭酸塩化蛇紋岩の岩体は分布していない。しかしながら,表川においては剪断帯中に30 cm程度の炭酸塩化した蛇紋岩塊が含まれることから,剪断帯を通して流体の移動が生じ片状リストベナイト質岩が形成されたと考えられる。
また,四国中部から産するリスベナイトの特徴として,他産地とは異なり含クロム白雲母のみではなく,含クロム粘土鉱物として滑石,クリノクロア,スドーアイト,白雲母,トスダイト,イライト-スメクタイト,カオリナイト,モンモリロナイトを含む。含クロム粘土鉱物の産状については,クロム鉄鉱を取り囲むもの(白雲母,緑泥石など)と,石英や炭酸塩鉱物中に細粒な包有物として含まれるもの(白雲母,スメクタイトなど),片状組織を形成するやや粗粒なカオリナイトに大別できる。
浦山川ではアンチゴライトから石英,マグネサイトが形成された組織が観察される一方で,雨乞西谷川では滑石炭酸塩岩が伴われ,アンチゴライトの仮晶組織を持つ滑石が確認できる。岩体ごとに流体,周囲の母岩との相互作用の程度には差が大きいことがうかがえる。
リストベナイトは,環伊豆地塊蛇紋岩帯では静岡県口坂本(木下・竹原, 1939),蓮華帯では新潟県糸魚川(榎田・白勢, 2025; 橋本ら, 2025)および福井県伊勢(宮川, 1968; 1982),周防帯では山口県金峯鉱山(木下・竹原, 1939),長崎変成岩類に伴うものでは長崎県雪浦(Mori et al., 2007; 西山ら, 2025),朝地変成岩に伴うものでは大分県入蔵(寺岡ら, 1992)などから産出する。三波川帯からはさらに多くの産地が確認できており,中央構造線周辺では長野県金鶏鉱山(五味, 1998),静岡県出馬(Suzuki et al., 1977),愛媛県浦山川,関川,市場川,西谷川,市之川,雨乞西谷川,黒瀬鉱山,志河川,滑川,表川,砥部川(e.g., 皆川ら, 2008; 白勢ら, 2022; Takagaki and Shirose; 2025),大分県丹生鉱山(木下ら, 1958),また御荷鉾ユニット周辺では高知県坂本,徳島県落合(皆川ら, 2008)などが挙げられる。
口坂本,伊勢,入蔵などでは,リストベナイトは比較的規模の大きい蛇紋岩体に伴い,地質図スケールの石英-マグネサイト岩として産出する。一方,四国中部では,中央構造線剪断帯に伴うものや泥質片岩中の小規模な蛇紋岩体に伴うものなど,比較的小規模な産状が多い。
四国中部のリストベナイトは,Takagaki and Shirose (2025)が浦山川から報告したように,蛇紋岩を原岩とする緻密・硬質な塊状リストベナイトと,泥質片岩を原岩とする脆い片状リストベナイト質岩に分けられる。塊状リストベナイトは炭酸塩化蛇紋岩を伴い,漸移的な産状も確認できる。また,初生的な組成に近いコアと蛇紋岩化時に形成されたリムを持つクロムスピネル残晶を含む。塊状リストベナイトは石英とマグネサイトを主とし,少量のドロマイトと含クロム粘土鉱物を伴う。一方,片状リストベナイト質岩は石英,ドロマイト,マグネサイトに加え,含クロムカオリナイトまたは含クロム緑泥石を含み,全岩的にアルミニウムに富み,マグネシウムに乏しい特徴を持つ。さらに,塊状リストベナイトと泥質片岩との境界部や泥質片岩中に産出することから,泥質片岩を原岩として,炭酸塩化蛇紋岩由来の流体と反応して形成されたと考えられる。特に,市場川,表川,砥部川では,中央構造線剪断帯に伴って泥質片岩中に片状リストベナイト質岩が産出するが,その周囲に塊状リストベナイトや炭酸塩化蛇紋岩の岩体は分布していない。しかしながら,表川においては剪断帯中に30 cm程度の炭酸塩化した蛇紋岩塊が含まれることから,剪断帯を通して流体の移動が生じ片状リストベナイト質岩が形成されたと考えられる。
また,四国中部から産するリスベナイトの特徴として,他産地とは異なり含クロム白雲母のみではなく,含クロム粘土鉱物として滑石,クリノクロア,スドーアイト,白雲母,トスダイト,イライト-スメクタイト,カオリナイト,モンモリロナイトを含む。含クロム粘土鉱物の産状については,クロム鉄鉱を取り囲むもの(白雲母,緑泥石など)と,石英や炭酸塩鉱物中に細粒な包有物として含まれるもの(白雲母,スメクタイトなど),片状組織を形成するやや粗粒なカオリナイトに大別できる。
浦山川ではアンチゴライトから石英,マグネサイトが形成された組織が観察される一方で,雨乞西谷川では滑石炭酸塩岩が伴われ,アンチゴライトの仮晶組織を持つ滑石が確認できる。岩体ごとに流体,周囲の母岩との相互作用の程度には差が大きいことがうかがえる。
