Presentation Information
[R2-04]Solid solubility of Al3+ and Sc3+ into SrTiO3 with the cubic perovskite structure
*Takaya NAGAI1, Jun KAWANO1, Ayako SHINOZAKI1, Daigo KAWAMOTO2, Aoi TSUNODA2, Saya ISHIKAWA3 (1. Hokkaido Univ. Faculty Sci., 2. Hokkaido Univ. Grad. Sci., 3. Hokkaido Univ. School Sci.)
Keywords:
SrTiO3,trivalent cation,solid solubility
はじめに:ペロブスカイト型酸化物A2+B4+O3は、多様な陽イオンの固溶に寛容であることが知られている。私たちはこれまで、ペロブスカイト型チタン酸塩A2+Ti4+O3においてTi4+を3価の陽イオンで置換し、電荷補償として酸素欠陥を導入するA2+Ti4+O3-A2+M3+O2.5系の固溶挙動を研究してきた。例えば、CaTiO3ペロブスカイトではTi4+→Al3+の置換により大気圧下では約26 mol%まで固溶し、固溶量の増加に伴い格子体積が減少する。またペロブスカイト構造の対称性が固溶量に応じて、約22 mol%までは直方晶系、約25 mol%以上では立方晶系、その間の固溶量(23 mol%)では正方晶系といったモルフォロジカルな変化をしていくことがわかってきた。
本研究では、立方晶系のペロブスカイト構造を持つSrTiO3へのAl3+とSc3+の固溶について、その固溶限界と構造変化を対象とした研究を行ったので報告する。SrTiO3はトレランス因子がほぼ1であり、Al3+(0.535 Å)<Ti4+(0.0.605 Å)<Sc3+(0.745 Å)のイオン半径を考慮すると、Ti⁴⁺より小さい(Al3+)/大きい(Sc3+)イオンの置換が、格子定数や構造に対して対照的な効果を与えることが期待される。また、SrTiO3は下部マントルの主要構成鉱物の一つであるデイブマオアイトCaSiO3のアナログとして地球科学的にも興味深い。デイブマオアイトCaSiO3へのSi4+→Al3+置換については過去にいくつかの報告例があり、例えば、Kurashina et al.(2004)では置換メカニズムは不明であるが、Al3+のわずかな固溶によりGdFeO3型の直方晶系相の安定領域が広がることが報告されている。また、Kanzaki et al.(2017)では、Ca(Al0.5Si0.5)O2.75とCa(Al0.4Si0.6)O2.8という酸素欠損型の秩序相が報告されている。イオン半径の観点からは、Si4+(0.4 Å)<Al3+(0.535 Å)であることから、SrTiO3におけるTi4+→Sc3+の置換に対する固溶挙動がアナログとして興味がある。
実験手法:SrTiO3-SrAlO2.5系(バルクのSrAlO2.5成分が10、20 mol%)およびSrTiO3-SrScO2.5系(バルクのSrScO2.5成分が20、30、40、50、60 mol%)について、炭酸塩・酸化物試薬から固相反応により合成を試みた。手順としては、試薬試料を秤量・混合後、ペレットに成形し、空気中1300 ℃で48時間焼成した。焼成後急冷し回収した試料をXRD分析したところ、焼成回数が少ない時には2相のペロブスカイト構造相が確認され、そのうち1相は純粋なSrTiO3であったことから、焼成→混合→ペレット成形→焼成のプロセスを純粋なSrTiO3の回折ピークが消失するまで4~6回繰り返した。
結果:SrTiO3-SrAlO2.5系:出発のバルクのSrAlO2.5成分が10 mol%では立方晶系のペロブスカイト構造相1相となったが、20 mol%では立方晶系ペロブスカイト構造相の他に少なくともSr3Al2O6と同定可能な回折ピークが存在した。また、格子体積はSrAlO2.5成分の増加に伴ってわずかに減少したが、SrAlO2.5成分0→10 mol%間の減少量に比べ、10→20 mol%間の減少量が小さいことから、SrAlO2.5成分の固溶限界が10~20 mol%の間にあることが示唆される。なお、これらの結果はShah et al.(2022)による先行研究と部分的に整合的ではなく、検討が必要である。
SrTiO3-SrScO2.5系:出発のバルクのSrScO2.5成分が20~50 mol%では立方晶系のペロブスカイト構造相1相となったが、60 mol%では立方晶系ペロブスカイト構造相の他に弱い未同定の回折ピークが存在した。また、格子体積はSrScO2.5成分0→50 mol%間はほぼ直線的に増加したのに対し、SrAlO2.5成分60 mol%の格子体積はその外挿よりもわずかに小さいことから、SrScO2.5成分の固溶限界は50~60 mol%の間にあることが示唆される。
本研究で対象としたいずれの系についても固溶限界まで立方晶系ペロブスカイト構造が維持されており、デイブマオアイトCaSiO3-CaAlO2.5系で報告されているような低対称化や中間組成での秩序相は観察されなかった。また、格子定数の変化は、Al3+<Ti4+<Sc3+のイオン半径の大小関係と整合的であり、立方晶系ペロブスカイト型SrTiO3の高い構造安定性が示唆される。
本研究では、立方晶系のペロブスカイト構造を持つSrTiO3へのAl3+とSc3+の固溶について、その固溶限界と構造変化を対象とした研究を行ったので報告する。SrTiO3はトレランス因子がほぼ1であり、Al3+(0.535 Å)<Ti4+(0.0.605 Å)<Sc3+(0.745 Å)のイオン半径を考慮すると、Ti⁴⁺より小さい(Al3+)/大きい(Sc3+)イオンの置換が、格子定数や構造に対して対照的な効果を与えることが期待される。また、SrTiO3は下部マントルの主要構成鉱物の一つであるデイブマオアイトCaSiO3のアナログとして地球科学的にも興味深い。デイブマオアイトCaSiO3へのSi4+→Al3+置換については過去にいくつかの報告例があり、例えば、Kurashina et al.(2004)では置換メカニズムは不明であるが、Al3+のわずかな固溶によりGdFeO3型の直方晶系相の安定領域が広がることが報告されている。また、Kanzaki et al.(2017)では、Ca(Al0.5Si0.5)O2.75とCa(Al0.4Si0.6)O2.8という酸素欠損型の秩序相が報告されている。イオン半径の観点からは、Si4+(0.4 Å)<Al3+(0.535 Å)であることから、SrTiO3におけるTi4+→Sc3+の置換に対する固溶挙動がアナログとして興味がある。
実験手法:SrTiO3-SrAlO2.5系(バルクのSrAlO2.5成分が10、20 mol%)およびSrTiO3-SrScO2.5系(バルクのSrScO2.5成分が20、30、40、50、60 mol%)について、炭酸塩・酸化物試薬から固相反応により合成を試みた。手順としては、試薬試料を秤量・混合後、ペレットに成形し、空気中1300 ℃で48時間焼成した。焼成後急冷し回収した試料をXRD分析したところ、焼成回数が少ない時には2相のペロブスカイト構造相が確認され、そのうち1相は純粋なSrTiO3であったことから、焼成→混合→ペレット成形→焼成のプロセスを純粋なSrTiO3の回折ピークが消失するまで4~6回繰り返した。
結果:SrTiO3-SrAlO2.5系:出発のバルクのSrAlO2.5成分が10 mol%では立方晶系のペロブスカイト構造相1相となったが、20 mol%では立方晶系ペロブスカイト構造相の他に少なくともSr3Al2O6と同定可能な回折ピークが存在した。また、格子体積はSrAlO2.5成分の増加に伴ってわずかに減少したが、SrAlO2.5成分0→10 mol%間の減少量に比べ、10→20 mol%間の減少量が小さいことから、SrAlO2.5成分の固溶限界が10~20 mol%の間にあることが示唆される。なお、これらの結果はShah et al.(2022)による先行研究と部分的に整合的ではなく、検討が必要である。
SrTiO3-SrScO2.5系:出発のバルクのSrScO2.5成分が20~50 mol%では立方晶系のペロブスカイト構造相1相となったが、60 mol%では立方晶系ペロブスカイト構造相の他に弱い未同定の回折ピークが存在した。また、格子体積はSrScO2.5成分0→50 mol%間はほぼ直線的に増加したのに対し、SrAlO2.5成分60 mol%の格子体積はその外挿よりもわずかに小さいことから、SrScO2.5成分の固溶限界は50~60 mol%の間にあることが示唆される。
本研究で対象としたいずれの系についても固溶限界まで立方晶系ペロブスカイト構造が維持されており、デイブマオアイトCaSiO3-CaAlO2.5系で報告されているような低対称化や中間組成での秩序相は観察されなかった。また、格子定数の変化は、Al3+<Ti4+<Sc3+のイオン半径の大小関係と整合的であり、立方晶系ペロブスカイト型SrTiO3の高い構造安定性が示唆される。
