Presentation Information

[R2-17]Electron-Beam-Induced Dehydroxylation in Dioctahedral 2:1 Layered Silicate Minerals: An OBF-STEM Observation

*Hayato Miura1, Toshihiro Kogure2,3, Ichiro Ohnishi1, Taiga Okumura2, Shigeru Suehara4, Kazuki Komatsu3 (1. JEOL Ltd., 2. Waseda Univ. Educ., 3. Univ. Tokyo, Grad. Sch. Sci, 4. NIMS)

Keywords:

phyllosilicate minerals,Muscovite,STEM,TEM,OBF

イライトやモンモリロナイトなどの2八面体型2:1層状ケイ酸塩鉱物では、空の八面体サイトの位置に応じてtrans-vacant(tv)型とcis-vacant(cv)型という2種類の構造が混在し得ることが粉末X線回折(PXRD)や熱分析などのバルク分析により示されている.しかし、この異なる構造が局所的な化学組成と関連しているのか、あるいはひとつの結晶中に混合層となり得るかなど、バルク分析だけでは解決できない多くの疑問が残されている.これらの疑問を解明するため、高分解能透過電子顕微鏡法(HRTEM)を用いたtv/cv構造の直接観察が期待される.Kogure & Drits (2010)は、バルク分析よりtv構造とcv構造の混在が考えられるイライト試料のHRTEM観察を試みたが、得られたすべてのコントラストはtv構造のみを示していた.Kogure (2007)はその理由として、TEM観察時の電子線照射が大気中の試料加熱と同様に2八面体型2:1層の脱水酸基化を引き起こし、それが八面体陽イオンの再配置を誘導するため、元のcv構造が観察できない可能性を提案した.近年、分割型環状全視野(SAAF)検出器を備えた収差補正走査透過電子顕微鏡法(Cs-STEM)を用いることで、低電子ドーズで原子分解能像を取得できる最適明視野STEM(OBF-STEM)が開発された(Ooe et al., 2021).Kogure (2007)の仮説を検証するため、我々は全原子コラムを可視化したOBF-STEMにより、電子線照射された白雲母中の酸素コラムの可視化を試みた.
TEM試料は、集束イオンビーム(FIB)法により白雲母(2M1)の単結晶から作製した.比較のため、同じ白雲母を大気中で900Cに加熱して脱水酸化させた白雲母のTEM試料も作製した.OBF-STEM像は、8分割STEM検出器(SAAF Octa)を備えた収差補正型300 kV透過電子顕微鏡(JEOL JEM-ARM300F2)を用いて取得した.ほとんどの観察は1 pA未満のプローブ電流で行った.まず、大気中で加熱し脱水酸基化した白雲母のOBF-STEM像(図1a)と通常の白雲母の結晶構造(図1c)とを比較すると、水酸基(OH)の位置にはコントラストが存在せず、八面体シートのAlと同じ高さに酸素と考えられるコントラストが観察された(図1aの矢印1).これは、宇田川ら(1974)がX線構造解析を用いて報告した脱水酸基化白雲母の構造と一致する.これに対して、未加熱の通常の白雲母のOBF-STEM像を図1bに示す.水酸基の酸素のコントラストはこちらも観察されず,矢印2で示されるように,層に対して垂直に広がるコントラストが観察された.これは,電子照射によって脱水酸化が進行し,残った酸素が統計的に配置していることを示していると考えられる.これらの結果は,TEM内での電子照射が2八面体型2:1層の脱水酸基化を誘起し,それがcv 型の2:1層の観察を困難にしていることを裏付けるとともに,ある種の鉱物において本来の構造をHRTEMで記録する場合には,さらなる低ドーズ化が必要になることを示された.