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[R2-18]Analyzing diffusion mechanism of hydrogen in hydrous vitrified silica via molecular dynamics simulations

*Fumiya NORITAKE1 (1. University of Yamanashi)

Keywords:

Silicate Glass,Water,Hydrogen,Molecular Dynamics Simulation

珪酸塩ガラス中における水素の移動様式の知見は地球科学およびガラス工学ともに重要である。赤外分光法を用いた実験によれば、低含水量の珪酸塩ガラス中ではヒドロキシルとして水素は存在する。そして、モル分量で15 %程度で分子水と含まれる割合と拮抗するようになりそれ以上では分子水としての存在割合が卓越する(Stolper, 1982, Contrib. Mineral. Petrol.)。この分子水の量がヒドロキシルとしてガラス中に取り込まれる水素の量を卓越する含水量はガラスの組成によって多少前後するが傾向自体が変わることはない(Stuke et al., 2006, Chem. Geol.)。そのためBehrens & Nowak (1997, Contrib. Mineral. Petrol.)ではヒドロキシルとして存在する水素が近くの架橋酸素に攻撃し、もともとヒドルキシルとして結合していた酸素との結合を切って移動するという拡散モデルが提唱された。一方で、Kuroda et. al (2019, Am. Min.)では分子水としての移動が提唱されている。彼らの報告では1 mol %を下回る低濃度の実験において 80 kJ/mol程度の活性化エネルギーを持つ結果が得られているが、分子水が水素結合を切断して移動するような拡散の場合は 20 kJ/mol程度の活性化エネルギーを持つ(Suzuki et al., 2004, J. Contam. Hydrol.)。しかしながら希ガスの珪酸塩ガラス中における拡散の活性化エネルギーと原子半径のトレンドに分子水も乗っていると主張されている。本講演では分子動力学法を用いて含水二酸化珪素ガラスの数値シミュレーションを行い、そこで得られた軌跡を用いて珪酸塩ガラス中水素の拡散様式の解析を行ったのでその結果について議論する。分子動力学計算にはMXDORTOを用い(Sakuma & Kawamura, 2009, Geochim. Cosmochim. Acta)、原子間ポテンシャルモデルには電子状態計算で得られた珪酸塩結晶の変形やシラノール・シロキサンが関係する反応中のエネルギー変化を再現するように作られ其れに伴い結合解離を取り扱うことができるとされる古典ポテンシャルであるMGFFモデルを用いた(Mahadevan & Garofalini, 2008, J. Phys. Chem.)。ユニットセル内の原子数は7600O, 3600Si, 800Hとし(3.2 wt % H2O)、3000 Kで500 psの構造緩和を行い、1012 K/sで300 Kまで冷却した。圧力は0.1 MPa、運動方程式の積分時間は0.1 fsとして、温度圧力は速度体積スケーリング法を用いて制御した。この際のガラス転移温度は比容から見積もると1000 K程度となり水を含まないSiO2ガラスより500 K程度低い。ガラス転移点以下の温度で、急冷計算中での構造を取り出して定積アンサンブルに切り替えて500 psの構造緩和計算を行った後、1000 psの本計算を行ってその際の軌跡を用いて動力学の解析を行った。拡散様式の解析には筆者が近年開発した結合生成・切断粒子法を用いていた。この手法ではまず結合の生成および切断が起きた際にその位置を記録しそれをその瞬間に存在する仮想の粒子とする。任意の結合イベント、例えばi番目のHがj番目のOとの結合が切断され、新たにk番目のOと結合が生成する、というイベントはij間の結合切断粒子ά-ijとik間の結合生成粒子ά+ikの対ということになる。この二体相関関数およびその角度方向への拡張された関数の解析を行うことで結合交換様式の実像の解析が可能となる(Noritake, 2025, Comp. Theor. Chem.; 則竹, 2026, 岩石鉱物科学)。図aは850 Kにおけるヒドロキシルの水素が結合を切って分子水に移動するイベントを表した二体相関関数である。メインのピークは角度方向に拡張した二体相関関数では180°付近に存在しており直線的に水素が移動していることが示唆されている(図b, c)。要旨では省略するが幾つかの特徴的な結合交換様式の頻度、および拡散係数を逆温度に対してプロットしたものが図dであり、ヒドロキシルの水素が分子水に移動する様式の活性化エネルギーが拡散のものに近いため、この結合交換が様式が水素拡散を支配していると考えられる。講演では含水量が5 mol %、20 mol %における拡散様式についても触れたい。