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[R2P-05]Formation of Tobermorite and Ca-Si Hydrates in OPC-Silica Systems

*Haruka Ogyu1, Yusuke Seto1, Keiji Shinoda1 (1. Osaka Metropolitan University)

Keywords:

Tobermorite,Roman concrete,Hydrothermal synthesis

ローマ時代に建造されたコンクリート (ローマンコンクリート) を使用した港湾構造物や海中建造物の一部は、約2000年にわたり海水環境下で高い耐久性を維持しており、この長期耐久性の要因として、ローマンコンクリート中に形成されたTobermorite (Ca5Si6O16[OH]2・4H2O) などのCa-Si系水和鉱物が注目されている。Tobermoriteは層状カルシウムシリケート水和物の一種であり、ローマンコンクリート中では石灰由来のCaと火山灰由来のSiおよびAl成分が海水と長期的に反応することにより形成したと考えられる。人工的なTobermoriteの合成実験の多くは単純なCaO-SiO2-H2O系を対象に行われており、150~200 ℃の水熱条件下で生成することが知られている。一方、多成分かつ低温条件のセメント反応におけるシリカ粒子の結晶性や粒子表面がCa-Si水和物の局所的な核形成・成長に与える影響については不明な点が多い。そこで本研究では、近代的なコンクリート原料である普通ポルトランドセメント (Ordinary Portland Cement, OPC) を使用し、OPCに添加したシリカ粒子がどのように溶解し、Caを含む水和物として再沈殿するのかを明らかにするための合成実験を行った。
 本研究では、火山灰由来シリカ成分を単純化して模擬するため、OPCに粉砕石英 (1~50 μm)、アモルファスシリカ (粒径約1 μm) を添加し、養生条件及び結晶性の違いが生成鉱物相と微細組織に与える影響を検討した。水/セメント重量比 (W/C) は0.40であり、シリカ添加量はOPCに対して20 wt.%に統一した。20 ℃及び60 ℃ではPP容器内で密閉養生し、120 ℃ではテフロン容器のオートクレーブを用いて1, 3, 7, 14日間養生した。養生後の試料についてSPring-8 (BL22XU) における放射光X線回折測定およびSEM-EDX分析を行い、水和反応に伴う鉱物相の変化および微細組織について考察した。
 放射光XRDの結果、いずれのシリカ添加系においてもCalcite、Alite、Larnite、Portlandite、Brownmillerite、Ettringite、Tricalcium aluminateに対応する回折ピークが確認された。このうちAlite、Larnite、Brownmillerite、Tricalcium aluminateはOPCに由来する未反応クリンカー鉱物として残存したと考えられる。120 ℃で養生した粉砕石英添加試料では、1日間の場合は石英の回折ピークが認められたが、7日及び14日間ではそれらのピークの強度は顕著に低下した。さらに14日間養生試料では、d=11.4 Å付近に回折ピークが出現し、これはTobermoriteの底面反射である可能性が高い。一方、120 ℃で養生したアモルファスシリカ添加試料では、養生日数に伴う水和鉱物相の量比の変化は認められたものの、d = 11.4 Å付近のピークは確認されなかった。20 ℃および60 ℃養生試料についても、養生期間やシリカ添加の有無により水和鉱物及び未反応クリンカー鉱物の量比に変化が認められたものの、Tobermoriteの底面反射に相当する回折ピークは確認されなかった。
 SEM観察の結果、120 ℃・粉砕石英添加・7日および14日養生の試料において、石英粒子の表面から放射状に成長する繊維状結晶 (直径 <100 nm、長さ1~2 μm) が確認された (図)。EDX分析の結果この結晶のCa/Siモル比は0.75~0.95程度であり、Tobermoriteである可能性が高い。一方、アモルファスシリカを添加した試料では120 ℃条件で繊維状組織は確認されず、代わりに塊状でCa/Si比 1.0~1.3 程度の物質が生成していた。20℃及び60 ℃養生試では、シリカ添加の有無にかかわらず同様の繊維状組織は確認されなかった。
 粉砕石英添加系では、石英粒子表面での局所的な溶解が進行し、粒子表面を起点として繊維状Tobermorite が成長した可能性が示唆される。一方アモルファスシリカを添加した実験では、Siイオンの溶出速度は石英より速いはずなのに、Tobermoriteの生成は確認できなかった。この要因自体は不明であるが、OPC―シリカ系におけるTobermorite相の形成には、単にシリカの反応性が高いことだけでなく、シリカ粒子表面における局所的なCa-Si成分の供給場が重要であることが示唆される。