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[R3-18]High-pressure and high-temperature synthesis of iron oxynitride and implication for primordial nitrogen in the deep Earth

*Ko FUKUYAMA1, Ryosuke Sinmyo2, Shuhou Maitani2, Sayako Inoué3, Hiroyuki Kagi4, Toru Shinmyo3, Tetsuo Irifune3 (1. Kyushu Univ. Sci., 2. Meiji Univ. Sci. Tech., 3. Ehime Univ. GRC, 4. Univ. Tokyo Sci.)

Keywords:

High-pressure and high-temperature,Single-crystal X-ray diffraction,Scanning transmission electron microscope,Oxynitride,Mixed-anion compounds

窒素(N2)と酸素(O2)は、地球の大気の99 vol.%を占め生命の必須元素であるが、依然として地球深部におけるこれらの軽元素の振る舞いは未解明な部分が多い。特に窒素に関しては、コンドライト組成で規格化された全地球存在量が炭素および水と比較して1桁以上枯渇しており、"missing" nitrogenと呼ばれる地球化学の未解決課題となっている (Marty, 2012)。この"missing" nitrogenが引き起こされる原因の1つとして、下部マントル鉱物中の酸素 (O2−)を窒化物イオン (N3−)が置換し、地球深部に窒素が保持されるモデルが近年提案された (Fukuyama et al., 2026)。一方、このような無機化合物中の酸素サイトに窒化物イオン (N3−)が存在する物質は酸窒化物とも呼ばれ、固体化学や材料科学分野で近年精力的に研究がなされている。ただし、鉄をはじめとした遷移金属元素の酸窒化物に関しては、可視光応答型触媒や誘電体材料といった機能性材料として期待されるものの、合成結晶サイズのほとんどは10 μm未満に限られているのが現状である (Ishii et al., 2022)。
上記の背景から、本研究では、薄膜 (< 600 nm)での合成例のみ報告されているNaCl構造を持つ鉄の酸窒化物 (e.g., Grafouté, et al., 2015)の単結晶を、Bhat et al. (2015)が報告した高温高圧下直接反応法から合成することに取り組んだ。出発物質には、Fe2O3とFe3Nの混合粉末とFe2O3とFe4Nの混合粉末の2種類を用意した。超高圧高温実験には愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター設置のマルチアンビル高圧発生装置を使用し、28 GPa, 1600 °Cの条件で合成実験を行った。急冷回収試料の組成分析およびマッピング分析には九州大学理学研究院に設置されたEPMAを使用し、単結晶X線構造解析には、明治大学地球内部物理学研究室に設置されたX線回折装置を用いた。
2種類の大きさ2 mmに及ぶ高圧合成焼結試料のEPMA分析から、先行研究 (e.g., Grafouté, et al., 2015)で報告されたwüstite-likeな鉄の酸窒化物と同等の化学組成 (FeOxNy (x + y ≈ 1))をもつ物質が主要な相として存在していることが分かった。また、2種類の合成試料のマッピング分析から、窒素が少なくとも 100 μm × 100 μmの範囲で均質に分布していることも確認できた。先行研究ではwüstiteはNiAs構造を持つFeNと部分的な固溶体を形成することが報告されていたが (Rustioni et al., 2024)、今回の単結晶X線構造解析から、2種の高圧合成試料はともに下部マントルに存在し得るwüstiteと同じNaCl構造を持つことが明らかとなった。天然の酸窒化物は地球の始原的な材料物質の候補であるエンスタタイトコンドライト中のみに発見されていることから (Keil and Andersen, 1965)、下部マントルには"missing" nitrogen を引き起こす窒素に富んだ始原的なリザーバーが存在するかもしれない。
上記に加え、本発表では、Fe2+ + O2− → Fe3+ + N3−といった窒素の取り込み機構がbridgmaniteにおいて示唆されているため (Fukuyama et al., 2026)、鉄酸窒化物 (窒素に富んだwüstite)における窒素の取り込みに伴うFe3+/ΣFeの上昇機構に関しても、STEM-EELS分析から議論したい。