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[R3P-06]Volatile concentrations in primitive petit-spot magma constrained from high P-T experiments

*Haruka Yamada1, Norikatsu Akizawa1, Toru Inoue1, Yusuke Egi1, DUTTA DRIPTA1, Yuto Sato2, Kenji Shimizu2, Takayuki Ushikubo2, Akira Ishikawa3, Shiki Machida4, Naoto Hirano5 (1. Hiroshima Univeristy Grtaduate School of Advanced Science and Engineering, 2. JAMSTEC, 3. Science Tokyo, 4. Chiba Institue of Technology, 5. Tohoku University)

Keywords:

Petit-spot,Partition coefficient

火山活動は、地球内部から炭素を放出する重要な役割を果たしている。2000年代にはいって東北沖で発見されたプチスポットという海底火山は、特に炭素に富むマグマで特徴づけられており、全球的な炭素放出に重要な寄与をもたらしていると考えられている。プチスポットマグマは、溶岩の化学組成や捕獲岩の由来深度推定から、アセノスフェア起源であるとされる。急冷ガラスを用いた二酸化炭素含有量の測定と脱ガスモデルから、初生的なプチスポットマグマは他のマグマに比べて二酸化炭素含有量が多いと報告されている(Okumura & Hirano, 2013)。プチスポットは東北沖だけでなく、チリ沖など世界中の沈み込み直前のプレートから報告されており、プチスポットは全球的に分布していると予想される。これらのプチスポットに関する特徴を踏まえると、プチスポットは全球的な炭素循環に対して大きな役割を果たしていると言える。
 本研究では、プチスポットの炭素循環に対する寄与を定量的に評価するために、高温高圧実験を実施した。実験には、東北沖のプチスポットSite Aで採取された溶岩中で、初生的なマグマ組成を保持していると考えられる単斜輝岩の捕獲岩を使用した。この単斜輝岩の薄片観察、鉱物化学組成分析から、樹枝状の高Mg#(=Mg/(Mg+Fe); ~0.8)単斜輝石結晶が発達し、その周囲には低Mg#(~0.75)単斜輝石の細粒結晶集合体、その隙間をAlやNa含有量の高い単斜輝石(Jadeite)が埋めている特徴的な組織が認められた。SEM-EBSD分析結果から、樹枝状の単斜輝石と周囲の単斜輝石の結晶方位が全てそろっていることがわかった。これらの特徴は、冷却方向が揃うリソスフェア―アセノスフェア境界で急速にマグマが結晶化した特徴を示していると考えられる。
 高温高圧実験条件は、単斜輝岩が形成されたと考えられるリソスフェア―アセノスフェア境界付近の温度圧力条件(3.0 GPa, 1300-1400℃)で行った。また、実験の出発物質は揮発性成分を変化させるために単斜輝岩の粉末に試薬を加え、CO2とH2O量の異なる4つの粉末を用意した。2度の実験のうち、3.0 GPa, 1400℃の条件で行った実験では鉱物は晶出しなかったが、3.0 GPa, 1300℃の条件で行った実験では鉱物とメルトの平衡状態を達成することに成功した。EPMAによる鉱物主成分元素組成分析の結果から、晶出した鉱物は単斜輝石であることを確認した。平衡状態を達成した3.0 GPa, 1300℃条件で得られた実験生成物の単斜輝石とガラスのそれぞれに含まれるCO2やH2Oをはじめとする揮発性成分の含有量を二次イオン質量分析計(SIMS)で測定した。その測定結果を用いて3.0 GPa-1300℃条件下における単斜輝石―メルト間の炭素における分配係数KdC = 0.0036±0.0003、水素における分配係数KdH=0.0206±0.0025を計算した。これらの分配係数のうち、KdHは先行研究であるRosenthal et al. (2015)と整合的な値となった一方で、KdCは先行研究よりも一桁大きな値となった。
 本研究と先行研究との間でKdCの結果に差が生じた要因として、本実験で生成した鉱物の粒径が小さく(~30μm)、SIMS分析の際にイオンビームが周りのメルトに含まれるCO2も一部分析してしまった可能性が考えられる。また、出発物質作成時に試薬の量を調整してCO2、H2O量が異なる4つの実験粉末を作成したが、実験生成物間でのCO2、H2O量には違いがほとんど見られなかった。加えて、揮発性成分を含有していないカプセルでもCO2やH2Oの含有が確認された。出発物質の天然単斜輝岩にCO2が相当量入っていたため(例えば鉱物粒間など)だと考えられる。以上のような鉱物の粒成長や揮発性成分の制御という観点で課題が残る結果となったが、プチスポットマグマの揮発性成分含有量を実験的に制約し、プチスポット火山活動が地球深部から表層への炭素輸送に果たす役割を評価するという、最終目標に向けた今後の実験の方向性を決めるための重要な基礎データを得ることができた。

参考文献
・Okumura, S & Hirano, N. (2013) Carbon dioxide emission to Earth’s surface by deep sea volcanism, Geology, v. 41, no, 11, p. 1167-1170
・A. Rosenthal., E.H. Hauri., M.M. Hirscmann. (2015), Experimental determination of C, F, and H partitioning between mantle minerals and carbonated basalt, CO2/Ba and CO2/Nb systematics of partial melting, and the CO2 contents of basaltic source regions, Earth and Planetary Science Letters, 412, 77-87