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[R3P-09]Stability and Compression Behavior of High-Pressure Ice Phases in the H2O-NH3 System of Icy body interiors

*Momoko Takeuchi1, Takeshi Sakai1, Hirokazu Kadobayashi2, Asami Sano3, Shinichi Machida4 (1. Ehime Univ. GRC, 2. JASRI, 3. JAEA, 4. CROSS)

Keywords:

Ice VII phase,DMA(Disordered molecular alloy),ammonia hydrate

水とアンモニアは巨大氷惑星や衛星などの氷天体を構成する主要構成成分であり,これまでにH2O–NH3系においてはアンモニア一水和物(AMH),半水和物(AHH),二水和物(ADH),三水和物(ATH)といった定比水和物相が報告されている (Loveday and Nelmes, 2004; Li et al., 2019).さらに最近では16 GPa, 750 Kの高圧高温下で水をより多く含む新規相(NH3:H2O=1:6)が新たに報告された(Mondal et al., arXiv). AMHおよびADHの室温圧縮実験では約4 GPa以上でAHH-IIと氷Ⅶ相に分離することが知られている.一方,低温圧縮実験ではDMA(Disordered molecular alloy)相と呼ばれる水分子とアンモニア分子が相互置換した固溶体の存在が報告されている(Wilson et al.,2015).このことから定比化合物としての水和物だけでなく,固溶体として連続的な組成変化を理解することは,氷天体の内部構造や進化過程を議論する上で重要であると考えられる.通常,氷相形成時においてイオンは氷格子に取り込まれず排除される特徴を持つ.しかし,Klotz et al.(2016)の塩(LiCl,LiBr)含有氷相の高圧実験では,氷格子内に塩が存在する可能性が示唆された.そこで室温圧縮において分離生成した氷Ⅶ相も同様にアンモニア分子が部分的に“固溶”(DMA化)する可能性に着目した.
本研究では,室温圧縮で分離生成されるAHH-IIおよび氷Ⅶ相の圧縮挙動から,氷Ⅶ相へのアンモニア分子の固溶の有無を検証した.また,NH3 aq. (10 wt%) 試料によるDMA単相の形成可否を検証した.NH3 aq.(28–30 wt%)およびND3 aq.(25 wt%)を用いた室温圧縮実験には,Diamond anvil cell (DAC)(Run AW14)およびParis–Edinburgh press(Run AW19)を用いた.一方,NH3 aq.およびND3 aq.(ともに10 wt%)を用いた低温圧縮実験には,DAC(Run AW15)およびMito cell(Run AW20)を用いた.試料中のアンモニア成分の気化を防ぐため,AW14では約150 K,AW15,19では約230–240 Kに予冷した溶液およびアンビルを用いて液体状態で試料充填を行った.一方,AW20では試料のみ冷却し,試料充填を行った.充填後,AW14,19では室温下で約20 GPaまで加圧し,AW14では約400 Kで適宜アニーリングを行った.低温圧縮実験では,AW20では約80-85 K,約4 GPaまで加圧し,AW15では約80 K,約10 GPaまで加圧後,室温下で約30 GPaまで加圧した.加圧速度に関して,DAC実験では1 GPaあたり数秒程度という急速圧縮を行ったのに対し,Paris–Edinburgh pressやMito cellでは同等の加圧に2~5分を要した.作成した試料についてSPring-8 BL10XU (Run AW14, 15), J-PARC BL11 (Run AW19, 20)にてX線・中性子線回折測定を行い,格子定数を決定した.  
AW14,NH3 aq.(28–30 wt%)の室温圧縮実験では2相分離が確認され,かつ,氷VII相が約4.5 %体積膨張し,約10 mol%のアンモニア分子の固溶が確認された.一方,AW19では体積差は約0.18 (2) %であり,十分な固溶は確認されなかった.室温圧縮にてゆっくり加圧した場合は分子が十分に再配列し,熱力学的に安定な相が形成される.一方,急速加圧では分子の再配列が追いつかず,準安定相が形成される可能性がある.このため,室温では加圧速度によって生成相が変化すると考えられ,加圧速度がアンモニア含有氷の形成に起因する可能性が考えられた.
NH3 aq.およびND3 aq.(ともに10 wt%)を用いた低温圧縮実験では,AW15において体積が10 mol%理想体積線と一致し,10 wt%試料でもDMA単相が形成可能であることが示された.AW20では低温下約2.5 GPaの氷Ⅷ相安定領域にて氷Ⅶ相を確認した.本来安定ではない温度圧力下で氷Ⅶ相が確認されたのは,アンモニアが氷格子内に入ることで局所的な構造変化が起きたと考えられる.低温下では分子拡散が抑制されるため,加圧速度よりも分子移動の遅さが相転移を支配する.その結果,加圧速度による生成相の違いが生じにくくなると考えられる.DMA単相の形成過程において,低温下ではアンモニア成分が氷格子内に固溶することで,Ice VII相が準安定的に保持された可能性が考えられる.