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[R4P-02]Dissolution and decomposition behavior of titanium minerals in organic acid solutions

*Shunta Ariga1, Hiroaki Ohfuji2 (1. Tohoku Univ. Sci., 2. Tokyo Univ. Sci.)

Keywords:

Organic acid,Titanium minerals,Water-soluble complex

はじめに
 チタンは難溶性であり、地球表層環境においては移動しにくい元素として知られている。しかし、比較的低温(200℃以下)の環境下においても、チタンの移動や濃集を示す痕跡が確認されている。具体例として、火山ガラス中に二次的に形成した管状チタン石(Izawa et al., 2019)や、堆積岩の有機物に含まれるTiO2ナノ結晶などが挙げられる(Galvez et al., 2012)。管状チタン石の起源と生成メカニズムには未解明な点が多く残されているものの、有機酸などによる水溶性チタン錯体の形成が鍵となる可能性が指摘されている (Knowles et al., 2013)。筆者らのこれまでの研究では、クエン酸水溶液中において、ペロブスカイトやチタン石というカルシウムを含むチタン鉱物からTiが溶出することが明らかになっている。また、材料科学の分野においては、クエン酸以外にも複数の天然有機酸やアミノ酸により水溶性チタン錯体が形成されることが知られている(Kakihana et al., 2010)。そこで本研究では、チタンと錯体を形成し得る乳酸、プロピオン酸、シュウ酸、およびL-セリンの各水溶液に着目し、チタン鉱物の溶解実験を行った。
実験方法
 出発試料として、天然のイルメナイト(FeTiO3)および試薬のペロブスカイト(CaTiO3)を用いた。天然試料は数十μmサイズに粉砕し、試薬はそのまま(粒径約1μm)の状態で実験に使用した。反応溶液にはクエン酸、乳酸、プロピオン酸、シュウ酸、およびL-セリンの水溶液(0.1 M)を用い、加熱温度90、180℃、飽和水蒸気圧下の条件で、12時間から最長1カ月間の溶解実験を行った。反応後、固体試料は遠心分離で回収し、粉末XRDによる鉱物相同定、およびSEM-EDSを用いた微細組織観察と化学分析を実施した。一方、回収した液体試料は希釈後に5 %硝酸溶液で固定し、ICP発光分光(ICP-OES)により元素濃度を測定した。
結果と考察
 ICP-OES分析の結果、シュウ酸水溶液中においてペロブスカイトおよびイルメナイトからの顕著なTiの溶出が確認された。特にペロブスカイトを用いた90℃・4日間の条件では、Ti濃度は最大約500 ppmに達した。このとき、ペロブスカイトの実験では全加熱時間を通じて液相中のCa濃度が極めて低かったのに対し、イルメナイトの実験では90℃において高いFe濃度が検出された。一方でL-セリン水溶液中では、昨年報告したクエン酸水溶液中のTi濃度よりも低いTi濃度を示しており、乳酸やプロピオン酸水溶液中ではさらに低いTi濃度を示していた。固体試料の粉末XRD分析の結果、シュウ酸-ペロブスカイト系では90℃および180℃の両条件でシュウ酸カルシウムとアナターゼの生成が確認された。また、乳酸、プロピオン酸、L-セリンを用いたペロブスカイトの系では、90℃において微量のアナターゼやルチルの生成が認められた。また、シュウ酸–イルメナイト系では90℃において生成物が無いことを確認した。 以上の結果から、シュウ酸はCaやFeと強固な錯体を形成して鉱物の結晶構造を破壊し,溶解を促進するとともに、Tiも水溶性錯体として効率的に溶出させたと考えられる。さらに、ペロブスカイトの実験においては溶液中からCaをシュウ酸カルシウムとして継続的に固定・除去することで、ペロブスカイトの溶解反応の駆動力を高く維持し、溶解速度が鈍化しなかったと推測される。一方でチタン錯体の安定性に関しては、クエン酸水溶液(90℃・12時間)では錯体の分解が認められなかった(昨年報告)のに対し、本研究のシュウ酸、乳酸、プロピオン酸、L-セリン等では同条件でも酸化チタンの沈殿が生じ、液相中のTi濃度が低くなることが確認された。したがって、クエン酸チタン錯体が特に高い安定性を持つ一方、シュウ酸をはじめとするその他の有機酸は錯体として不安定であることが明らかになった。ただしシュウ酸においては、前述のCa除去プロセスによってクエン酸を上回る極めて高い初期溶解速度が実現されている点が特異的である。なお、実験方法に記載した一部の条件については現在も継続して検証を進めており、最新の分析結果については当日の発表にて報告する。