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[R5-10]Shock metamorphism of the surface particles of asteroid Ryugu (2)

*Naotaka TOMIOKA1, Masaaki Miyahara2, Kosuke Kurosawa3, Takaaki Noguchi4 (1. Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology (JAMSTEC), 2. Hiroshima University, 3. Kobe University, 4. Kyoto University)

Keywords:

Ryugu,shock metamorphism,microfault,high-pressure phase transformation,shock melting

探査機はやぶさ2がC型小惑星リュウグウから持ち帰った表層粒子は、鉱物学的・岩石学的にCIコンドライトに類似する物質である。これらの表層粒子はレゴリスとしてリュウグウを覆っており、過去に衝突イベントを経験してきたと考えられる。我々はその痕跡を探るべく、リュウグウ粒子の電子顕微鏡観察を進めてきた。本講演では、これまでに得られた結果を総括して紹介する。
 炭素質コンドライトのショックステージは、主にオリビンの衝撃効果に基づいて決定される[1]。リュウグウ表層粒子、およびSCIクレーターから採取された粒子のオリビンには、ショックステージS3(5–10 GPa)を特徴づけるplanar fractureは認められない。また、層状珪酸塩の分解・脱水の痕跡も認められず、平均的にはS2以下(<5 GPa)に相当する衝撃変成度であった。しかしながら、詳細な鉱物学的観察により、頻度は低いものの、一部の粒子が以下の衝撃効果を示すことが明らかとなった。
 (1) 微小断層には、フランボイダルマグネタイトや層状珪酸塩がせん断変形した組織[2]、および平滑な粒子表面に条線を伴う鏡肌(slickenside)状組織[3]がある。前者は微小断層の断面、後者は断層面そのものに相当すると考えられる。断層力学解析から推定された圧力は最大4.5 GPaである。(2) 高圧鉱物としては、ドブリーライト(FeCr₂S₄)の高圧多形のゾレンスキーアイトが発見された[2]。実験的に確認されている安定領域から、リュウグウにおけるゾレンスキーアイトの形成圧力は2 GPa以上と推定される。
 宇宙空間に晒されていたリュウグウ粒子の表面には、以下の特徴がみられた。(3) 粒子表面には発泡したメルトが観察され[4]、CIコンドライトの衝撃実験試料の組織[5]に基づけば、10 GPa以上の圧力発生を示唆する。この組織は、メテオロイド衝突における粒子間の摩擦加熱やマイクロメテオロイド衝突の加熱に起因すると解釈される。(4) カルサイト結晶に窪みが認められ、その内部に絡み合った転位が観察された。大理石の衝撃回収実験試料の組織と対比すると、この産状は約4 GPa以上の圧力発生を示す[6]。(5)フランボイド状の非磁性鉱物とその周辺に鉄ナノ粒子が発見された。これはフランボイダルマグネタイトが高温で還元された結果生じたと考えられる[7]。(4), (5)の組織はマイクロメテオロイド衝突によって形成されたと解釈される。
 以上の衝撃組織を総合すると、リュウグウへの微小衝突では局所的に10 GPaを超える圧力が発生する一方、リュウグウ表層の衝撃効果を代表する巨視的な空間スケールでの圧力は数 GPa程度である。これらの結果は、含水小惑星では、衝突によって生じた破片が母天体上に残存する割合が、無水小惑星に比べて著しく小さい可能性を示唆する。その原因としては、含水コンドライトの引張強度が小さいことに加え、衝撃加熱に伴う脱ガスに起因する爆発的破砕が挙げられる。
 脱ガスによる破砕の要因として、人工的に衝撃を加えた炭素質隕石の組織観察から、層状珪酸塩の脱水分解が指摘されてきた。近年、炭素質隕石の模擬物質からの衝撃脱ガス成分をその場計測する技術が開発され、炭素質小天体表面での脱ガスの物理化学の理解が進んだ。密度が異なる様々な鉱物や不均質な形状の空隙の混在により、衝突点近傍では衝撃エネルギーの著しい不均質が生じてしまうことがわかった。秒速3 km程度の衝突速度でも>1000 Kの局所高温領域が生じるために、含水鉱物は分解して水蒸気を、有機物は酸化されCO/CO2ガスを発生する。これらの高温ガスは宇宙空間に向けて急激に膨張し爆発を起こす[8]。その結果、衝突点近傍で大きな衝撃変成を受けた物質の大部分は、母天体から放出されると考えられる。

引用文献 [1] Scott et al. (1992) GCA, 56, 4281–4293. [2] Tomioka et al. (2023) Nat. Astron., 7, 669–677. [3] Miyahara et al. (2024) MAPS, 59, 3181–3192. [4] Noguchi et al. (2023) Nat. Astron., 7, 170–181. [5] Nakahashi et al. (2025) EPSL, 668, 119559. [6] Tomioka et al. (2025) Amer. Mineral., 110, 945–955. [7] Kimura et al. (2024) Nat. Commun., 15, 3493. [8] Kurosawa et al. (2025) Nat. Commun., 16, 3608.