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[R5P-04]Acceleration terrestrial weathering experiments on asteroid Ryugu samples: Tracing petrological changes by synchrotron X-ray CT

*Megumi MATSUMOTO1, Seima Ishida1, Junya Matsuno2, Akira Tsuchiyama3, Masahiro Yasutake4, Tomoki Nakamura1, Tomoyo Morita1, Haruka Ohno2, Masayuki Uesugi4, Kentaro Uesugi4, Akihisa Takeuchi4, Taiga Takase1, Rieto Kawada1 (1. Tohoku University, 2. Kyoto University, 3. Ritsumeikan University, 4. JASRI)

Keywords:

asteroid Ryugu,CI chondrites,Terrestrial weathering,X-ray CT

探査機はやぶさ2,オシリスレックスが持ち帰った小惑星リュウグウ・ベンヌ粒子は主にMgに富む層状ケイ酸塩(サーペンティン,サポナイト),硫化鉄(ピロータイト,ペントランダイト),マグネタイト,炭酸塩(ドロマイト,マグネサイト),有機物からなり,CIコンドライトに似た化学的・鉱物学的特徴をもつ1–3。一方,CIコンドライトは,リュウグウ,ベンヌ粒子には殆ど含まれない硫酸塩やフェリハイドライトを多く含む4。これらCIコンドライト中の酸化的物質は,リュウグウやベンヌ粒子に類似する小惑星物質が地上で風化作用を受けて生成したと考えられている。しかし,隕石中で地球風化による物質変化がどのように進行したか,CIコンドライトのもつ特徴のうちどれが地球風化によって生じたものかは明らかでない。本研究では,実験室で小惑星リュウグウ粒子の長期地上風化模擬実験を行い,放射光X線CTにより粒子内部の変化を追跡し,風化による小惑星物質の変化過程を明らかにした。実験にはリュウグウaggregate(C0211)からピックアップしたリュウグウ粒子(長径 ~800 µm)を2粒子用いた(C0211-013,C0211-015)。約50℃に加熱したホットプレート付きベルジャー内に粒子を設置し,内部の相対湿度が80%以上となるよう調整し密閉した。密閉前,密閉後約10日,4カ月,8カ月,15カ月,21カ月経過後に粒子を取り出し放射光X線回折とCT(XRD/XCT)を行い粒子内部の変化を追跡した。粒子表面に顕著な変化が見られた密閉後約8カ月後以降は,放射光分析に加えて走査型,透過型電子顕微鏡(SEM/TEM)による粒子の微細組織観察を実施した。比較のためOrgueil CIコンドライト粒子についてもXRD/XCTを実施した。実験前のXRD/XCTから,実験に用いたリュウグウ2粒子は多くのリュウグウ粒子と同様にCI的な鉱物学的特徴をもつことが分かった。風化模擬実験の進行に伴い,XCT像において層状ケイ酸塩マトリクス中のナノサイズの空隙の減少に由来すると考えられるコントラストの変化が見られた。また既存のクラックの拡大,延伸とそれに伴う粒子の分離が確認された。これらの変化は実験開始後10日から実験期間を通して観察された。これらは層状ケイ酸塩が空気中の水を吸収して膨潤し層状ケイ酸塩マトリクスが緻密化したこと,その際の層状ケイ酸塩の体積変化により生じた歪がクラックを発展させたことを示唆する。実験開始後8カ月から,径10 µm以下の硫化鉄,炭酸塩粒子の変質が顕著になり,粒子の一部または全体が空洞化する様子が見られた。同時にC0211-013粒子表面では至る所でウィスカー状のMg硫酸塩(~10 µm)が形成し,C0211-015粒子表面ではドロマイト表面に針状のCa硫酸塩(~100 µm)が形成した。このことは,粒子内に浸透した水に硫化鉄や炭酸塩が溶解し,溶脱したMg,Ca,S等の成分が流体を介して粒子内を移動し粒子表面に運ばれ,新たに硫酸塩相を形成したことを示唆する。実験開始後15カ月の粒子のTEM観察では,空洞化が進んだ硫化鉄粒子内にゲーサイト様のDebye ringパターンを示す低結晶質の酸化鉄,Mg,Feに富む非晶質ケイ酸塩が確認された。また径500 nm以下の硫化鉄の多くは2–ラインフェリハイドライト様のDebye ringパターンを示す低結晶質の酸化鉄に置き換わっており,層状ケイ酸マトリクス中には細粒なCa硫酸塩が形成していることが分かった。これらの物質はフレッシュなリュウグウ粒子には見つかっておらず2,風化実験に伴い新たに生成したと考えられる。最近のリュウグウの風化実験でも,風化の再初期には細粒な硫化鉄の酸化が起こることが報告されている4。風化実験により新たに生成した物質は,CIコンドライト中に多く産する鉱物相であり,風化実験後のリュウグウ粒子はCIコンドライトの鉱物学的特徴を良く再現する。またOrgueil粒子のXCTでは,緻密な層状ケイ酸塩マトリクス組織,鉱物粒子の溶脱により形成したと考えられる径~10 µm以下の空洞が確認され,風化実験後のリュウグウ粒子と類似した岩石組織をもつことが分かった。このことはCIコンドライトがリュウグウに類似した小惑星物質が地球風化を受けたものであるという仮説を支持し,本研究により風化に伴う小惑星物質の変化が詳細に明らかになった。 1Yokoyama et al. (2022) Science, 2Nakamura et al. (2022) Science, 3Lauretta et al. (2024) MAPS, 4King et al. (2020) GCA, 4Miyahara et al. (2026) Nat. Commu.