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[R6P-03]Mafic magma emplacement during the early-stage of the Japan Sea Opening: Intrusion of the Koyama gabbroic body into wet sediments

*Keisuke ESHIMA1, Tsubasa Shimada1 (1. Yamaguchi University)

Keywords:

Japan Sea opening,Koyama gabbroic body,Wet sediments,Fluidization,Mud dike

【はじめに】新第三紀中新世に発生した日本海盆の裂開は,日本列島の成立において最も激しい地殻変形と物質移動を伴ったテクトニックイベントである(Otofuji et al., 1985, EPSL, 75, 265–277).この拡大最初期の伸張的な力学環境下では,地殻の薄化に伴い,マントル由来の苦鉄質マグマが背弧側の浅部地殻へと大量に注入された.山口県萩市須佐地域に産する中新世の高山斑れい岩体は,当時の背弧火成活動の挙動を記録する稀有な小規模苦鉄質岩体である(Imaoka and Itaya, 2004, Geological Magazine, 141, 1, 1–13).本研究は,詳細な野外地質踏査,鏡下観察,モード組成分析および全岩化学組成分析を統合し,日本海拡大最初期という特殊なテクトニクス背景のもとで,高温の苦鉄質マグマが「未固結な堆積層」へと定置した際の動的な相互作用とマグマプロセスを解明することを目的とする.
【地質概説と地質図再編】本調査地域の下位基盤を構成する後期白亜紀阿武層群は,中新世の浅海成堆積物である須佐層群(礫岩,砂岩および泥岩)に不整合に覆われる.この須佐層群が沈降・堆積し,十分に脱水・固結していない堆積初期の段階に高山斑れい岩体および随伴する山島火山岩類が非調和的に貫入した.本研究では,詳細な野外地質踏査を実施し,岩体境界の精査を実施し,従来は須佐層群の分布域とされていた岩体南麓部において玉ねぎ状風化を呈する斑れい岩露頭や風化残留物(コアストーン)を多数発見した.その結果,岩体の推定露出面積は従来よりも大幅に拡大(3.4 km2から4.5 km2)し,日本海拡大初期における本岩体への苦鉄質マグマ供給量は従来想定されていたよりも大規模であったことが判明した.
【結果と議論:未固結層への貫入機構とマグマプロセス】本研究では,高山斑れい岩体を構成する岩石を主岩相(Kgb-1),集積相(Kgb-3)および反応相(Kgb-2)の3岩相に区分した.日本海盆の裂開に伴い上昇した苦鉄質マグマ(Kgb-1:かんらん石含有両輝石斑れい岩)が,浅部の未固結な須佐層群へと貫入した際,高温マグマと堆積物内の間隙水が直接接触した.これによって間隙水の急激な加熱・膨張に起因する「過剰間隙水圧」が誘発され,未固結泥質堆積物が有効応力を喪失して液状化を起こした(Kokelaar, 1982,J. geol. Soc. London, 139, 21–33).この液状化した泥が岩体の冷却亀裂へと能動的に貫入することで,野外で観察される特徴的な「泥岩岩脈」が形成された.また,須佐層群との接触部や岩体上部に分布する反応相(Kgb-2:石英斑れい岩〜斜長岩質岩相)では,鏡下において輝石類が黒雲母や緑泥石へと激しく置換される熱水変質組織が顕著である.これは,未固結堆積物由来の流体がマグマ溜まりへと供給された開放系の同化・熱水反応プロセスを支持する.一方で,母岩からの流体流入の影響が少ない岩体内部の閉鎖的環境下では分別結晶作用および結晶集積作用が進行した.
【まとめ】高山斑れい岩体は,日本海拡大最初期という伸長テクトニクス環境において,未固結な浅部堆積層を押し広げるように定置した動的なラコリスである.本岩体は,内部における閉鎖系の結晶分化・集積作用を進めつつ,同時に未固結母岩の液状化を誘発して流体を取り込むという特有のマグマ供給系の実態を示していると考えられる.