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[R7-09]Speciation of rare earth elements (REEs) in ion-adsorption-type REE mineralization of Tanakami weathered granite

*Makoto Nagasawa1, Yoshio Takahashi2 (1. GSJ, AIST, 2. UTokyo, Sci.)

Keywords:

Rare earth element,Ion-adsorption-type deposit,Weathered granite,Soil pH,X-ray absorption fine structure

希土類元素(REE)は脱炭素社会の実現に必要不可欠な元素であり、その中でも特に地殻存在度が低くより貴重な資源である重希土類元素(HREE)のほとんどが、中国南部の周辺地域で開発されている「イオン吸着型鉱床(イオン鉱)」から供給されている。イオン鉱は、不適合元素を濃集した珪長質岩(花崗岩や流紋岩など)の風化過程で起きる水‐岩石反応により二次的に形成された鉱床で、その鉱石品位(ΣREE = 200~2000 ppm、平均800 ppm程度)は、カーボナタイト鉱床(ΣREE = 数~十数wt.%)など他のREE鉱床と比べて低い。しかし、常温の電解質溶液(硫酸アンモニウム溶液など)を用いたイオン交換反応により、REEを容易に(薬品単価・残液処理コスト・環境負荷いずれも低く)抽出することが可能であるため、有効なREE資源となっている(Nagasawa et al., 2020)。
 イオン鉱において、REEの大部分は化学風化により鉱物相から溶脱し溶存イオンとなり、風化生成物である粘土鉱物に対して、表面錯体を形成して吸着・濃集している。REEの主要なホスト相はカオリナイトなどの1:1型粘土鉱物であり、電解質溶液によるREEの高い抽出率は、カオリナイトなどの粘土鉱物に対する外圏錯体(直接結合を持たずに静電的な相互作用のみで吸着している状態)形成に起因することが、広域X線吸収微細構造(EXAFS)解析により明らかにされている(Yamaguchi et al., 2018; Borst et al., 2020)。カオリナイトはその構造内に、同型置換によって生じる永久電荷を有しており(Schroth and Sposito, 1997)、そこがREEの吸着サイトになっていると考えられる。一方、Ma and Eggleton (1999)によると、交換性陽イオンは主に、カオリナイトの底面および端面に露出した水酸基の脱プロトン化によって生じる変異電荷部に存在するとされており、これは内圏錯体(直接的な化学結合を介して吸着している状態)形成を示唆している。
 Nagasawa et al. (2024)では、滋賀県南部に分布する田上花崗岩地域の風化殻において、典型的なイオン吸着型鉱化作用を示したREE深度プロファイルを確認し、ハンドオーガーボーリングにより採取した風化花崗岩試料のX線吸収端近傍構造(XANES)解析等により、地表からの深度に応じてREEの主要な存在形態が変化することを明らかにした。その結果および電解質溶液による抽出率の関係は以下のように整理できる。
(i) 表層(REE枯渇層):
 表層では、強い風化作用によってREEが溶脱・移動するため、REEの多くはジルコンやモナザイトなどの残留鉱物の結晶構造中に存在する。そのため、この層では深度プロファイル中で最も抽出率が低い。
(ii) REE濃集層:
 溶脱帯の下部に位置するREE濃集層では、REEは主としてカオリナイトの永久電荷サイトに外圏錯体として吸着している。これは、表層付近においては土壌pHが比較的低く(pH5~6程度)、内圏錯体形成に寄与すると考えられるカオリナイトの底面や端面の水酸基が脱プロトン化しにくいためであり、その結果、深度プロファイル中で最も高い抽出率を示す。
(iii) 深層:
 さらに下部に位置する深層では、土壌pHの上昇(pH6程度以上)に伴い、カオリナイトの底面や端面の水酸基が脱プロトン化しやすくなる。その結果形成される変異電荷サイトに、REEは主として内圏錯体として吸着する。このため濃集層に比べて、抽出率は低下する。
 以上のように、イオン鉱におけるREEの外圏錯体または内圏錯体の形成は、カオリナイトへの分配係数(Kd)を支配する土壌pHの深度変化に大きく依存する。内圏錯体は外圏錯体に比べてより強固な結合ではあるが、抽出液のpHを低下させることでその回収率を向上させることができる。このような鉱体における元素の存在形態に関する知見は、製錬工程の改良など、鉱床開発プロセスの最適化に繋がることが期待される。