Presentation Information
[R7-10]Characterization of micro-inclusions in diamond-bearing? mantle xenocrysts in alkaline basalt from Shingu, Ehime
*Kyoji Shimura1, Hiroaki Ohfuji2, Hiroshi Kawabata3, Naoto Hiramo1, Tomoyuki Mizukami4 (1. Tohoku Univ. Sci., 2. Tokyo Univ. Sci., 3. Kochi Univ. Sci., 4. Kanazawa Univ. Sci.)
Keywords:
inclusion,xenocryst,clinopyroxene,diamond,electron microscope
【はじめに】
地球におけるダイヤモンドの主要な形成場は、古い大陸下部の厚いリソスフェア内部で、日本のような島弧・沈み込み帯からはダイヤモンドは産出しないと考えられていた。しかし、Mizukami et al.(2008)は愛媛県四国中央市新宮のアルカリ玄武岩脈に含まれる捕獲結晶から日本で初めてダイヤモンドを報告している。ダイヤモンドは単斜輝石の流体包有物中に1μmの大きさで炭酸塩や含水鉱物を伴って含まれていることが、顕微ラマン分光により確認された。その報告によると、アルカリ玄武岩中に捕獲されている単斜輝石には緑色と褐色の2種類あり、ダイヤモンドは前者の単斜輝石のみから3例報告されている。しかしながら、ダイヤモンドの同定は分光分析によって行われたのみで、その詳細な産状や特徴は分からず、またその起源・成因についても不明のままである。
そこで本研究では、先行研究で報告されているダイヤモンドを含む可能性のある単斜輝石を探索し、その内部包有物の産状や鉱物学的観察を進め、ダイヤモンドの直接観察を目指している。
【試料・研究手法】
新宮アルカリ玄武岩は三波川変成帯の泥質片岩に平板状に貫入しており、岩脈中央部には捕獲岩・捕獲結晶が多く含まれている。本研究ではこのうち、玄武岩の斑晶、単体で含まれる捕獲結晶および捕獲岩の構成鉱物として含まれる単斜輝石に対し、光学顕微鏡、SEM-EDSによる産状記載と化学定量分析を行い、先行研究で報告されているダイヤモンドを含む可能性のある単斜輝石の探索を行った。さらに、それらに含まれる内部包有物をコンタミネーションの影響なしに観察するためArイオンビームを用いた断面を作製し、FE-SEMで包有物の詳細な観察・分析を行った。いくつかの包有物については顕微ラマン分光分析を行い、またFIBで切り出した薄膜試料をTEMおよびSTEM-EDSで観察・分析した。
【結果と考察】
アルカリ玄武岩中の単斜輝石は、単斜輝石岩捕獲岩中に含まれるもの(褐色)、かんらん岩捕獲岩中に含まれるもの(緑色)、斑晶として含まれるもの(褐色)、捕獲結晶として単体で含まれるもの(緑色)の4種類に分類できる。EDS定量分析の結果、捕獲結晶として含まれる緑色の単斜輝石は、先行研究でダイヤモンドが含まれていたものと同様の低いMg#(<70)を示すことが分かった。この単斜輝石中には1~5 μmほどの二次包有物が列をなして多数含まれており、その内部にはKやNaに富む珪長質メルトに加え、鉄雲母、鉄スピネル、アパタイト、炭酸塩(シデライト、マグネサイト、カルサイト)、含水アルミノ珪酸塩(未同定)などの析出物が空隙(揮発性成分の痕跡)を伴い普遍的に確認された。さらに、これらの析出物とともに包有物の内壁に沿って不定形で含まれる炭素物質も認められ、TEMの電子線回折によりアモルファスであることが分かった。最近、itsukawa et al.(2026)はタヒチ島で採取したマントル捕獲岩に含まれる単斜輝石中の包有物として芳香族炭化水素を報告しており、その産状は共存する珪長質メルトや析出鉱物を含め本試料中のものとよく類似している。しかし、顕微ラマン分光の結果、本試料に含まれる炭素物質からはブロードなDバンドとGバンドは確認されたが、C-H結合に起因するピークは確認されず、水素を含まないアモルファスカーボンであると考えられる。現在、まだダイヤモンドの発見には至っていないが、低いMg#を持つ緑色の単斜輝石中に含まれる炭素物質は、揮発性成分に富んだ流体から直接沈殿した可能性が高い。
引用文献
Mizukami et al. (2008), Geology, 36, 219-222.
Mitsukawa et al. (2026), Scientific Reports, 16, 638.
地球におけるダイヤモンドの主要な形成場は、古い大陸下部の厚いリソスフェア内部で、日本のような島弧・沈み込み帯からはダイヤモンドは産出しないと考えられていた。しかし、Mizukami et al.(2008)は愛媛県四国中央市新宮のアルカリ玄武岩脈に含まれる捕獲結晶から日本で初めてダイヤモンドを報告している。ダイヤモンドは単斜輝石の流体包有物中に1μmの大きさで炭酸塩や含水鉱物を伴って含まれていることが、顕微ラマン分光により確認された。その報告によると、アルカリ玄武岩中に捕獲されている単斜輝石には緑色と褐色の2種類あり、ダイヤモンドは前者の単斜輝石のみから3例報告されている。しかしながら、ダイヤモンドの同定は分光分析によって行われたのみで、その詳細な産状や特徴は分からず、またその起源・成因についても不明のままである。
そこで本研究では、先行研究で報告されているダイヤモンドを含む可能性のある単斜輝石を探索し、その内部包有物の産状や鉱物学的観察を進め、ダイヤモンドの直接観察を目指している。
【試料・研究手法】
新宮アルカリ玄武岩は三波川変成帯の泥質片岩に平板状に貫入しており、岩脈中央部には捕獲岩・捕獲結晶が多く含まれている。本研究ではこのうち、玄武岩の斑晶、単体で含まれる捕獲結晶および捕獲岩の構成鉱物として含まれる単斜輝石に対し、光学顕微鏡、SEM-EDSによる産状記載と化学定量分析を行い、先行研究で報告されているダイヤモンドを含む可能性のある単斜輝石の探索を行った。さらに、それらに含まれる内部包有物をコンタミネーションの影響なしに観察するためArイオンビームを用いた断面を作製し、FE-SEMで包有物の詳細な観察・分析を行った。いくつかの包有物については顕微ラマン分光分析を行い、またFIBで切り出した薄膜試料をTEMおよびSTEM-EDSで観察・分析した。
【結果と考察】
アルカリ玄武岩中の単斜輝石は、単斜輝石岩捕獲岩中に含まれるもの(褐色)、かんらん岩捕獲岩中に含まれるもの(緑色)、斑晶として含まれるもの(褐色)、捕獲結晶として単体で含まれるもの(緑色)の4種類に分類できる。EDS定量分析の結果、捕獲結晶として含まれる緑色の単斜輝石は、先行研究でダイヤモンドが含まれていたものと同様の低いMg#(<70)を示すことが分かった。この単斜輝石中には1~5 μmほどの二次包有物が列をなして多数含まれており、その内部にはKやNaに富む珪長質メルトに加え、鉄雲母、鉄スピネル、アパタイト、炭酸塩(シデライト、マグネサイト、カルサイト)、含水アルミノ珪酸塩(未同定)などの析出物が空隙(揮発性成分の痕跡)を伴い普遍的に確認された。さらに、これらの析出物とともに包有物の内壁に沿って不定形で含まれる炭素物質も認められ、TEMの電子線回折によりアモルファスであることが分かった。最近、itsukawa et al.(2026)はタヒチ島で採取したマントル捕獲岩に含まれる単斜輝石中の包有物として芳香族炭化水素を報告しており、その産状は共存する珪長質メルトや析出鉱物を含め本試料中のものとよく類似している。しかし、顕微ラマン分光の結果、本試料に含まれる炭素物質からはブロードなDバンドとGバンドは確認されたが、C-H結合に起因するピークは確認されず、水素を含まないアモルファスカーボンであると考えられる。現在、まだダイヤモンドの発見には至っていないが、低いMg#を持つ緑色の単斜輝石中に含まれる炭素物質は、揮発性成分に富んだ流体から直接沈殿した可能性が高い。
引用文献
Mizukami et al. (2008), Geology, 36, 219-222.
Mitsukawa et al. (2026), Scientific Reports, 16, 638.
