Presentation Information
[R8P-01]Geological structure and metamorphic-deformation history of high-pressure units of the Sanbagawa metamorphic belt in the Omogi-Namegawa District, Ehime Prefecture
*Shunsuke ENDO1, Nachi KURIHARA1, Umito SAKI1, Tomoki TAGUCHI2 (1. Shimane Univ., 2. Waseda Univ.)
Keywords:
Sanbagawa metamorphic belt
三波川帯や周防帯に代表されるコヒーレント型低温高圧変成帯は,(1)高P/T比の変成ステージをもつ高圧(HP)ユニットと,より低圧(<1 GPa)のユニットから構成されること,(2)HPユニットの高P/T比の記録の大部分が減圧期の緑れん石角閃岩相再結晶作用(アルバイト斑状変晶の形成を伴う)によって上書きされていること,(3)後退変成期に造山帯走向にやや斜交する水平伸長変形(延性薄化)を受けていること,を共通の特徴とする.これらは沈み込み帯前弧域の温度構造や上昇テクトニクスを復元する上で重要な制約条件となる.
三波川帯では,四国中央部の別子-汗見川地域および四国東部の高越地域において,青色片岩相高圧部~エクロジャイト相(P > 1.7 GPa)の変成履歴をもつ「エクロジャイトユニット」が認識されている.これらの地域ではざくろ石+オンファス輝石共生が局所的に保存され,エクロジャイトユニットはより低圧の白滝ユニットの構造的上位に重なるとされる.しかし,両ユニット間のピーク温度差が小さいことに加え,接合後の再結晶・延性変形作用が顕著であるため,ユニット境界の認定は容易ではない.そのため,エクロジャイトユニットの分布規模には依然として不確実性が残されている.
中央構造線・桜樹屈曲部では,比較的低変成度の白滝ユニット(下部:緑泥石帯,上部:緑泥石帯~ざくろ石帯低温部)が広く分布する.一方,本研究では野外調査と記載岩石学的検討により,エクロジャイトユニットに相当する高圧岩体が面木HPユニットと滑川HPユニットの二地域に分かれて分布することを明らかにした.本地域では,両HPユニットと白滝ユニット上部との間に明瞭なピーク温度差が存在するため,その境界は結晶片岩類の平均粒径の急変として野外で追跡可能である.地質構造は,HPユニットが低角ナップとして白滝ユニット上部に累重することを示す.炭質物ラマン温度計によるピーク温度推定は,滑川HPユニットが480℃,その直下の白滝ユニットが370-400℃であった.
面木HPユニットと滑川HPユニットの泥質片岩はいずれもざくろ石斑状変晶を含む.両HPユニットのざくろ石は融食-再成長組織を伴う複雑な累帯構造をもつが,組成範囲に違いが認められ,面木HPユニットのざくろ石はよりMgに富む.ざくろ石中には菱形のローソン石仮像(パラゴナイト+クリノゾイサイト+石英),藍閃石に加え,ひすい輝石(滑川HPユニット)またはオンファス輝石(面木HPユニット)が包有される.さらに,ローソン石仮像周囲ではざくろ石組成の改変が認められ,高P/Tステージにおけるざくろ石成長中(等圧または減圧昇温)にローソン石分解反応(Lws + Jd = Cz + Pg + Qz + H₂O)が進行したことを示唆する.両HPユニットの苦鉄質片岩は減圧期の再結晶作用(バロア閃石+緑れん石+アルバイト+チタナイト)が顕著であるが,高P/Tステージの鉱物組合せは藍閃石+緑れん石+ルチルに加えて,まれに細粒ざくろ石やオンファス輝石(面木HPユニットで確認)を伴う.泥質片岩と同様に,苦鉄質片岩中のざくろ石も面木HPユニットの方がMgに富む組成範囲を示す.
面木HPユニットと滑川HPユニットは,四国中央部のエクロジャイトユニットとともに単一のHPユニットを構成していた可能性が高い.面木-滑川HPユニットの下底は構造的下位の白滝ユニットのざくろ石アイソグラッドを切断する.一方,面木-滑川HPユニットが上昇時に受けた緑れん石角閃岩相変成作用は,隣接する白滝ユニットの変成作用より高変成度である.以上のことから,両ユニットは顕著な減圧期再結晶を受けた後にナップ集積が起こり,引き続いて東西伸長線構造で特徴づけられる延性薄化(Ds変形)を被ったと考えられる.
三波川帯では,四国中央部の別子-汗見川地域および四国東部の高越地域において,青色片岩相高圧部~エクロジャイト相(P > 1.7 GPa)の変成履歴をもつ「エクロジャイトユニット」が認識されている.これらの地域ではざくろ石+オンファス輝石共生が局所的に保存され,エクロジャイトユニットはより低圧の白滝ユニットの構造的上位に重なるとされる.しかし,両ユニット間のピーク温度差が小さいことに加え,接合後の再結晶・延性変形作用が顕著であるため,ユニット境界の認定は容易ではない.そのため,エクロジャイトユニットの分布規模には依然として不確実性が残されている.
中央構造線・桜樹屈曲部では,比較的低変成度の白滝ユニット(下部:緑泥石帯,上部:緑泥石帯~ざくろ石帯低温部)が広く分布する.一方,本研究では野外調査と記載岩石学的検討により,エクロジャイトユニットに相当する高圧岩体が面木HPユニットと滑川HPユニットの二地域に分かれて分布することを明らかにした.本地域では,両HPユニットと白滝ユニット上部との間に明瞭なピーク温度差が存在するため,その境界は結晶片岩類の平均粒径の急変として野外で追跡可能である.地質構造は,HPユニットが低角ナップとして白滝ユニット上部に累重することを示す.炭質物ラマン温度計によるピーク温度推定は,滑川HPユニットが480℃,その直下の白滝ユニットが370-400℃であった.
面木HPユニットと滑川HPユニットの泥質片岩はいずれもざくろ石斑状変晶を含む.両HPユニットのざくろ石は融食-再成長組織を伴う複雑な累帯構造をもつが,組成範囲に違いが認められ,面木HPユニットのざくろ石はよりMgに富む.ざくろ石中には菱形のローソン石仮像(パラゴナイト+クリノゾイサイト+石英),藍閃石に加え,ひすい輝石(滑川HPユニット)またはオンファス輝石(面木HPユニット)が包有される.さらに,ローソン石仮像周囲ではざくろ石組成の改変が認められ,高P/Tステージにおけるざくろ石成長中(等圧または減圧昇温)にローソン石分解反応(Lws + Jd = Cz + Pg + Qz + H₂O)が進行したことを示唆する.両HPユニットの苦鉄質片岩は減圧期の再結晶作用(バロア閃石+緑れん石+アルバイト+チタナイト)が顕著であるが,高P/Tステージの鉱物組合せは藍閃石+緑れん石+ルチルに加えて,まれに細粒ざくろ石やオンファス輝石(面木HPユニットで確認)を伴う.泥質片岩と同様に,苦鉄質片岩中のざくろ石も面木HPユニットの方がMgに富む組成範囲を示す.
面木HPユニットと滑川HPユニットは,四国中央部のエクロジャイトユニットとともに単一のHPユニットを構成していた可能性が高い.面木-滑川HPユニットの下底は構造的下位の白滝ユニットのざくろ石アイソグラッドを切断する.一方,面木-滑川HPユニットが上昇時に受けた緑れん石角閃岩相変成作用は,隣接する白滝ユニットの変成作用より高変成度である.以上のことから,両ユニットは顕著な減圧期再結晶を受けた後にナップ集積が起こり,引き続いて東西伸長線構造で特徴づけられる延性薄化(Ds変形)を被ったと考えられる.
