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[R8P-05]Practical 3-dimensional modelling of inclusions using optical microscope: Applications to earth sciences

*Keita Takahashi1, Simon Wallis1 (1. The University of Tokyo)

Keywords:

inclusion,3D modeling,image analysis,microscope,zircon

鉱物の中にはしばしば包有物が見られる。包有物の分布・組成・形状・粒径などを明らかにすることで, ホスト鉱物の成長環境やより若い段階の変形・変質作用などの情報を引き出すことができる。
 包有物を対象とした解析は通常, 偏光顕微鏡・電子顕微鏡観察によって得られた二次元画像を用いて行われる。しかし二次元画像は深さ方向の情報を持たないため, 解析時に包有物の三次元形態を仮定した補正をする必要がある点などいくつかの問題がある。三次元的なアプローチとしては, ユニバーサルステージ (Uステージ) やマイクロCTを用いた手法があげられる。Uステージは, 複数の軸で薄片を自由に傾斜・回転させることができる装置で, 包有物配列などの方位を測定することができるが, 粒径・形状データを取得することはできない。マイクロCTは, X線により対象物中の密度差三次元分布をmm~サブμmの分解能で得ることができるが, 分析の手間や高額な利用料金などから, 日常的に扱えるものではない。本研究では, 多くの研究室で手軽に包有物三次元解析ができるよう, 透過顕微鏡デジタル画像撮影・画像解析から三次元分布を構築する新たな手法を開発した。 
 本手法では, 鏡面研磨した薄片 (厚片) を載せたステージを一定間隔で動かしながら透過光で顕微鏡画像を撮影し, 得られた画像群の焦点位置を推定してスタックすることで, 包有物の三次元分布を点群データとして取得した。z軸のスタック処理時には, ステージの移動距離と鉱物粒子内の焦点移動距離は通常一致しないため, レンズの光学特性や鉱物の屈折率をもとに補正 (zスタック補正) した(Diel et al., 2020)。
 本手法の精度を評価するため, zスタック補正の妥当性を検証した。様々な種類の単粒子鉱物 (屈折率n = 1.34~1.75) の厚片を作成し, 本手法を用いて平面状クラックの点群モデルを作成した。得られたクラック点群モデルに平面フィッティングを行い, 傾斜角を算出した。また, Uステージを用いて同じクラックの傾斜角を測定し, 各手法の結果を評価した。その結果, 本手法によって求められたクラックの傾斜角は, 対物レンズの倍率やホスト鉱物の屈折率に関わらずUステージによる測角結果と平均±1.4度 (最大±4.5度) の精度で一致した。
 次に, 本手法を様々な鉱物で適用・検証した。その結果, 透明鉱物 (ジルコン・ざくろ石・石英・燐灰石など) における包有物の三次元分布を数十~百μmの深度まで再現することに成功した。ただし, 包有物の数密度が高い場合や, 同一画像内にボケのムラがある場合は正確な推定が困難であった。本手法を適用する際は, 対象とするホスト鉱物の下に別の鉱物組織が存在していないこと・開口数の高い対物レンズを使用すること・コンデンサーレンズを使用し被写界深度を下げることが重要である。劈開面などmmスケールのクラックは, 低倍の対物レンズ (10倍, NA=0.30) を使うことで深さ数mmの深度まで再現できた。数μmのスケールの包有物分布は高倍で開口数の高い対物レンズ (50倍, NA=0.80) を使うことで深さ数十~百μm程度の深度まで再現できた。xy方向の分解能は対物レンズ倍率と顕微鏡写真の画素数に依存し, 50倍レンズ使用時で約0.1μmである。一方, z方向の分解能は主に顕微鏡ステージの移動量とホスト鉱物の屈折率に依存し, 典型的には約1μm程度である。
 本手法を用いることで, ①包有物分布の三次元観察, ②包有物の粒径分布解析, ③包有物配列面 (線) の方位解析, ④包有物の体積混合率解析などが可能となる。本発表では, これらの解析の実例を紹介する。①三次元観察では, ガーネット中の針状ラメラが成長する様子や, ジルコンの結晶面に平行な方向にアパタイトの初生包有物が配列する様子などが明瞭に再現できた。②粒径分布解析では, 直径約1μm以上の包有物の粒径分布を取得することに成功した。③包有物の配列方位解析では, 定方位薄片中のヒールドクラックに沿った液体包有物の配列から方位密度分布図を得ることに成功した。④体積混合率解析では, 深さ方向を考慮した任意の領域における包有物の体積混合率の計算に成功した。 本手法は, ジルコンU–Pb年代の事前観察・ラメラ方位解析・石英中のヒールドクラックによる古応力解析など様々な応用が期待される。
【謝辞】千葉工業大学の多田賢弘氏には,ユニバーサルステージの使用をご快諾いただくとともに,測定方法についてご指導いただきました。ここに記して感謝申し上げます。
【引用文献】
Diel et al. (2020) Nat. Protoc., 15, 2773–2784.