Presentation Information
[R8P-08]Residual pressure and strain of quartz inclusions in Sanbagawa schists from the Bizan area, Tokushima, Japan
*Kippei Uchida1, Tomoki Taguchi2 (1. Waseda Univ. CSE., 2. Waseda Univ. Edu.)
Keywords:
Sanbagawa schists,Quartz inclusion,Residual pressure,Strain,Raman geobarometry
三波川帯では、主変成作用に先行するエクロジャイト相変成作用(P >~1.8 GPa)の痕跡が、四国中央部のエクロジャイトユニットを中心に報告されている。このユニットの空間的拡がりを把握することは、高圧型変成帯の構造−変成進化を理解するうえで重要である。四国東部の徳島県眉山地域では、Kabir and Takasu (2016)がヒスイ輝石を含む青色片岩からエクロジャイト相変成の痕跡を初めて報告した。しかし、このエクロジャイト相の変成記録が含ヒスイ輝石青色片岩に限られるのか、同地域に広く分布する片岩類にも保存されるのかは十分に検討されていない。ザクロ石中の石英包有物は、取り込み後に母相との物性差に由来する残留圧力・歪みを保持し得るため、基質の鉱物共生だけでは読み取りにくい高圧履歴を検出する有効な対象である。本研究では、眉山東麓のザクロ石帯相当の泥質片岩と青色片岩を対象に、岩石記載および石英包有物のラマン分光分析を行い、石英残留圧力・歪みから変成履歴を検討した。
眉山東麓の泥質片岩は石英+曹長石+ザクロ石+白雲母+緑泥石+炭質物を主とし、電気石、チタン石、ルチルなどを伴う。ザクロ石は半自形〜他形結晶として産し、多くは中心部から縁辺部へMn含有量が単調に減少する組成累帯構造を示す。一方、一部の泥質片岩では、粗粒なザクロ石(>600 µm)が融食−再成長組織で特徴づけられる複雑な組成累帯構造を示す。この粗粒ザクロ石中には、パラゴナイトや藍閃石などのNa相包有物も認められる。青色片岩は藍閃石+ザクロ石+白雲母+緑簾石+緑泥石+石英+曹長石を主とし、細粒自形ザクロ石(<30 µm)の濃集組織を伴う。泥質片岩に炭質物ラマン温度計を適用した結果、ピーク変成温度は約500–550°Cと見積もられた。ザクロ石中の石英包有物について、Δω1(Kouketsu et al., 2014)とP206(Reynard and Zhong, 2023)に基づき残留圧力を評価した。泥質片岩では、試料毎の代表値としてΔω1 = 約10.3–11.6 cm−1、P206 = 約0.67–0.77 GPaが得られた。これらの高残留圧力値は、泥質片岩がエクロジャイト相に相当する高圧変成条件を経験したことを支持する。一方、苦鉄質片岩ではΔω1 = 約7.7 cm−1、P206 = 約0.42 GPaであり、泥質片岩に比べ低い値を示した。stRAinMANおよびEntraPT(Angel et al., 2019; Mazzucchelli et al., 2021)を用いた歪み解析では、泥質片岩でε1 + ε2 = −0.026〜−0.008、ε3 = −0.006〜0.003、青色片岩でε1 + ε2 = −0.019〜−0.003、ε3 = −0.001〜0.005であった。EntraPTに基づく等残留圧力線も検討した結果、泥質片岩の石英包有物は青色片岩より相対的に高圧側に位置し、Δω1およびP206に基づく結果と整合的であった。
融食−再成長組織を伴うザクロ石やNa相包有物の存在は一部の泥質片岩に限られるが、高い石英残留圧力は複数の泥質片岩に共通する。眉山地域のザクロ石帯の一部は、泥質片岩を伴うエクロジャイトユニットを構成していた可能性がある。一方、含ザクロ石青色片岩の相対的に低い残留圧力と歪み成分の違いは、石英包有物の取り込み時期や岩石種に依存したザクロ石成長履歴の違いなどを反映していることが示唆される。
参考文献:
Angel et al. (2019) Z. Kristallogr. Cryst. Mater., 234, 129–140; Kabir and Takasu (2016) J. Metamorph. Geol., 34, 893–916; Kouketsu et al. (2014) Am. Mineral., 99, 433–442; Mazzucchelli et al. (2021) Am. Mineral., 106, 830–837; Reynard and Zhong (2023) Solid Earth, 14, 591–602.
眉山東麓の泥質片岩は石英+曹長石+ザクロ石+白雲母+緑泥石+炭質物を主とし、電気石、チタン石、ルチルなどを伴う。ザクロ石は半自形〜他形結晶として産し、多くは中心部から縁辺部へMn含有量が単調に減少する組成累帯構造を示す。一方、一部の泥質片岩では、粗粒なザクロ石(>600 µm)が融食−再成長組織で特徴づけられる複雑な組成累帯構造を示す。この粗粒ザクロ石中には、パラゴナイトや藍閃石などのNa相包有物も認められる。青色片岩は藍閃石+ザクロ石+白雲母+緑簾石+緑泥石+石英+曹長石を主とし、細粒自形ザクロ石(<30 µm)の濃集組織を伴う。泥質片岩に炭質物ラマン温度計を適用した結果、ピーク変成温度は約500–550°Cと見積もられた。ザクロ石中の石英包有物について、Δω1(Kouketsu et al., 2014)とP206(Reynard and Zhong, 2023)に基づき残留圧力を評価した。泥質片岩では、試料毎の代表値としてΔω1 = 約10.3–11.6 cm−1、P206 = 約0.67–0.77 GPaが得られた。これらの高残留圧力値は、泥質片岩がエクロジャイト相に相当する高圧変成条件を経験したことを支持する。一方、苦鉄質片岩ではΔω1 = 約7.7 cm−1、P206 = 約0.42 GPaであり、泥質片岩に比べ低い値を示した。stRAinMANおよびEntraPT(Angel et al., 2019; Mazzucchelli et al., 2021)を用いた歪み解析では、泥質片岩でε1 + ε2 = −0.026〜−0.008、ε3 = −0.006〜0.003、青色片岩でε1 + ε2 = −0.019〜−0.003、ε3 = −0.001〜0.005であった。EntraPTに基づく等残留圧力線も検討した結果、泥質片岩の石英包有物は青色片岩より相対的に高圧側に位置し、Δω1およびP206に基づく結果と整合的であった。
融食−再成長組織を伴うザクロ石やNa相包有物の存在は一部の泥質片岩に限られるが、高い石英残留圧力は複数の泥質片岩に共通する。眉山地域のザクロ石帯の一部は、泥質片岩を伴うエクロジャイトユニットを構成していた可能性がある。一方、含ザクロ石青色片岩の相対的に低い残留圧力と歪み成分の違いは、石英包有物の取り込み時期や岩石種に依存したザクロ石成長履歴の違いなどを反映していることが示唆される。
参考文献:
Angel et al. (2019) Z. Kristallogr. Cryst. Mater., 234, 129–140; Kabir and Takasu (2016) J. Metamorph. Geol., 34, 893–916; Kouketsu et al. (2014) Am. Mineral., 99, 433–442; Mazzucchelli et al. (2021) Am. Mineral., 106, 830–837; Reynard and Zhong (2023) Solid Earth, 14, 591–602.
