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[S1P-02]Optimizing femtosecond LA-ICP-MS trace-element concentration analysis of olivine for constraining crystallization temperature, redox state, and mantle source lithology

*Yuuki HAGIWARA1, Qing Chang1, Morihisa Hamada1, Kenta Yoshida1, Takeshi Hanyu1 (1. JAMSTEC)

Keywords:

Olivine,LA-ICP-MS,Geothermometer,Oxybarometer

カンラン石中の微量元素は,結晶化温度,酸化還元状態,結晶分化過程,含水量,マントルソース岩相や交代作用を制約する情報を持つ(Howarth and Harris, 2017; Wang et al., 2021).しかし,カンラン石中の多くの微量元素はμg g–1からng g–1レベルであり,LA-ICP-MS分析では,S/N,干渉補正,downhole分別,スポット径等を考慮し分析条件を最適化する必要がある.近年,標準試料MongOL Sh11-2が整備され(Batanova et al., 2019),分析条件の最適化について提案がなされてきた.例えば,Bussweiler et al. (2019) は,<100 µmの小スポットでは,ガラス標準試料とカンラン石とのアブレーション挙動の違いにより,Na,P,Mn,Co,Ni,Znなどでdownhole分別が生じることを示し,マトリックスが一致する標準試料による校正または大きなスポット径・低fluence・少ないショット数での分析を推奨した.さらに,超低濃度元素の測定に関しChen et al. (2024) は,193 nm nsLA-SF-ICP-MSにおいて,Jet + Hコーン,guard electrode on,Ar–N₂プラズマ,160 µm,15 Hz,8 J cm–2の条件を組み合わせることで,カンラン石中REE濃度を精確に測定できることを示した.Liang et al. (2026) は,193 nm nsLA-Q-ICP-MSでも,160 µm・20 Hzの多量の試料導入とdwell timeの最適化により,MongOL Sh11-2中のHREEを含む元素を測定できることを示した.しかし,これらはnsLAかつ大スポット径が要求される.フェムト秒LA- ICP-MSを用いてより局所から,カンラン石中の微量元素濃度を安定測定する条件は,まだ十分に検証されていない.そこで本研究では,266 nm fsLA-SF-ICP-MSを用いた実用的なカンラン石微量元素分析手順を構築した.本研究では,266 nmフェムト秒LA装置とThermo Fisher Scientific Element XR sector-field ICP-MSを用いた.分析には直径約50 µmのレーザーを回転照射し,直径約80 µm・深さ約50 µmのクレーターが形成された.ICP-MSはlow-resolution モードで運用し,guard electrodeはoffとした.分析対象は,7Li,23Na,25Mg,27Al,29Si,31P,39K,44Ca,45Sc,49Ti,51V,53Cr,55Mn,57Fe,59Co,60Ni,63Cu,66Zn,71Ga,88Sr,89Y,90Zr,163Dy,165Ho,166Er,169Tm,172Yb,175Lu,208Pbの計29元素とした.実効測定時間は,Li,Sc,V,Ga,Y,Zrで100 ms,Na,Mg,Al,Si,P,K,Ca,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,ZnおよびHREEで50 ms,Sr,Pbで25 msとした.外部標準試料にはGSD-1G,NIST612,ATHO-Gを用いた.MongOL Sh11-2を5点連続で測定し,分析精度,推奨値からの偏差,検出限界を評価した.データ処理にはLADRを用い,ガスブランク減算,標準試料に基づく感度補正,ドリフト補正,および100%規格化を適用した.2025年12月から2026年6月までの6セッション,計30点のMongOL Sh11-2測定結果を用いて,短期再現性,長期安定性,推奨値からの系統偏差を評価した.各セッション内の5点相対標準偏差の平均値は,Liで2.2%,Scで1.2%,Vで0.9%,Crで1.0%,MnOで0.8%,Coで1.1%,Niで1.4%,Cuで3.4%,Znで2.1%であり,岩石学的に重要な多くの元素について良好な短期再現性が得られた.また,6セッション平均の推奨値からの偏差は,Liで−2.4±1.2%,Scで+6.5±4.0%,Vで+8.6±2.0%,Crで+3.0±2.6%,MnOで+3.6±5.8%,Coで+8.0±1.3%,Niで−1.9±2.4%,Cuで+10.3±4.4%,Znで+6.4±7.1%であった.特に,V,Co,Ni,Crはセッション間でも比較的安定していた.一方,Yはセッション内相対標準偏差が平均4.0%と良好だが,推奨値に対して−9.2±3.6%の系統的な低値を示した.これは,Yの系統誤差が単純なカウント統計やdwell time不足ではなく,標準試料,マトリックス効果,またはdownhole分別に起因する可能性を示す.同様に,SiO2は−3.2±1.0%,Al2O3は−9.5±3.3%,TiO2は−6.9±3.3%と低めに,FeOは+10.0±3.2%と高めに推定され,系統的なマトリックス依存性が残る可能性がある.GaおよびZrはそれぞれ+14.2±9.7%,+17.1±17.5%と高めかつ変動が大きい.HREEは測定可能であるが,セッション内RSDが概ね12–27%と大きく,より大きな試料導入量,元素別dwell time,コーン組み合わせ,Ar–N2プラズマなどの最適化が必要である.以上より,現行の266 nm fsLA-ICP-MSによるカンラン石の微量元素濃度測定手法は,Li,Sc,V,Cr,Mn,Co,Ni,Cu,Znなどの主要な微量元素について,高い短期再現性と実用的な長期安定性を示す.一方で,Y,Na,Ga,Zr,HREEおよび主要酸化物成分には系統偏差が認められるため,現在,よりマトリックスマッチした標準試料(GOR132-G)の利用,干渉補正,LREE/MREE測定条件の検証を進めている.発表では島弧・海洋島玄武岩への応用結果についても言及する.