Presentation Information
[S2-11]Seismic Faulting under Greenschist-Facies Conditions and Subsequent Aseismic Slip
*Jun-ichi ANDO1, Ibuki Tuda1, Swarnaa ANNADURAI MUNUSAMY1, Naotaka Tomioka2, Kaushik Das1, Seiichirou Uehara3 (1. Hiroshima University, 2. JAMSTEC, 3. Kyushu University)
Keywords:
Chlorite,Talc,Dehydration reaction,Seismic slip,Aseismic slip
多くの内陸地震は約10~15 kmの深さで発生し、大陸地殻における典型的な地温勾配のもとでは、この深さは緑色片岩相の圧力・温度条件に相当する。このような条件下で形成された地震性断層や剪断帯を調べることは、地震発生過程を理解する上で極めて重要である。本研究では、緑色片岩相条件下で形成された断層岩を対象とし、微細組織観察および鉱物化学分析を通して、地震性断層の形成過程と、その後に同一断層面で生じた非地震性すべりの形成過程を明らかにした。
本研究で対象とした断層岩試料は、福岡県篠栗地域の蓮華帯から採取した。この地域では、蛇紋岩、角閃岩、および角閃石岩がテクトニック・メランジュを構成している(Annadurai Munusamy, 投稿準備中)。断層は、ほぼ南北走向で西に高角に傾斜し、角閃岩が緑色片岩相の交代作用によって形成された緑泥石岩中に発達している。薄片は、条線に平行かつ主すべり面に直交する方向に作製した。微細組織は偏光顕微鏡、SEM、およびTEMを用いて観察し、鉱物化学組成はEPMAにより分析した。
主な結果は以下のとおりである。(1) 緑泥石岩を構成する緑泥石は主すべり面に近づくにつれて減少し、一方でタルクが増加し、約200 µm幅のタルクのみからなるすべり帯を形成している。緑泥石は温度上昇に伴う脱水反応によってタルクへと変化することから、これらの観察結果は、摩擦熱を伴う地震性すべりが生じたことを示している。(2) 緑泥石からタルクへの変化には、一般にSiに富む成分の供給と、反応生成物としてAlを含む鉱物相の析出が必要である。しかし、本試料ではそのような鉱物相は認められない。このことは、反応に必要な成分が外部から供給され、反応生成物は系外へ運び去られたことを示している。したがって、これらの結果は、地震性断層形成の過程に流体が深く関与していたことを強く示唆する。(3) 主すべり面に隣接する厚さ約2~3 mmの領域では、緑泥石は破砕され、剪断変形を受けており、R1、P、およびY剪断面がよく発達している。この剪断帯内の緑泥石のみにCrが含まれており、さらに数百µmサイズの不透明鉱物も存在する。これらの特徴は、上記とは異なる化学組成をもつ流体が、この剪断破砕帯へ浸透したことを示唆している。主な結果は以下のとおりである。(1) 緑泥石岩を構成する緑泥石は主すべり面に近づくにつれて減少し、一方でタルクが増加して、幅約200 µmのタルクのみからなるすべり帯を形成している。緑泥石は温度上昇に伴う脱水反応によってタルクへと変化することから、このすべり帯は、摩擦熱を伴う地震性すべりによって形成されたと考えられる。(2) 緑泥石からタルクへの変化には、一般にSiに富む成分の供給と、反応生成物としてAlを含む鉱物相の析出を伴う。しかし、本試料ではそのような鉱物相は認められない。このことは、反応に必要な成分が外部から供給される一方、反応生成物は系外へ移動したことを示している。したがって、地震性断層形成の過程には流体が深く関与していたことが強く示唆される。(3) 主すべり面に隣接する厚さ約2~3 mmの領域では、緑泥石は破砕されて剪断変形を受け、R1、P、およびY剪断面がよく発達している。また、この剪断帯内の緑泥石のみにCrが含まれ、さらに数百 µmサイズの不透明鉱物も認められる。これらの特徴は、(2)で示した流体とは異なる化学組成をもつ流体が、この剪断破砕帯へ浸透したことを示唆している。(4) 緑泥石岩の未変形部には共役脆性割れ目が認められる。これらの共役割れ目から推定される最大主応力方向は、前述のR1およびP剪断面の配列と一致する。このことは、本試料が脆性破壊の開始からその後の断層すべりに至るまで、一貫した応力場のもとで変形したことを示している。さらに、共役割れ目から推定される内部摩擦角は極めて小さく(5°未満)、破壊時にも流体が存在していたことを示唆する。(5) 主すべり面を構成する断層面上には、Caに富む角閃石がスリッケンファイバーとして成長している。この繊維状結晶の成長は、緑色片岩相条件下においてクリープ型の断層すべりが生じたこと、ならびに断層面に流体が存在していたことを示している。この非地震性クリープは、先行する地震性断層運動によって主すべり面上に形成された、含水条件下で極めて低い摩擦係数をもつタルク層によって促進されたと考えられる。
以上の結果から、内陸地震の震源深さで生じる断層形成過程において、流体が極めて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。さらに、地震性断層運動の後に、同一の断層面に沿って非地震性断層すべりへ移行する過程が存在することが示された。
本研究で対象とした断層岩試料は、福岡県篠栗地域の蓮華帯から採取した。この地域では、蛇紋岩、角閃岩、および角閃石岩がテクトニック・メランジュを構成している(Annadurai Munusamy, 投稿準備中)。断層は、ほぼ南北走向で西に高角に傾斜し、角閃岩が緑色片岩相の交代作用によって形成された緑泥石岩中に発達している。薄片は、条線に平行かつ主すべり面に直交する方向に作製した。微細組織は偏光顕微鏡、SEM、およびTEMを用いて観察し、鉱物化学組成はEPMAにより分析した。
主な結果は以下のとおりである。(1) 緑泥石岩を構成する緑泥石は主すべり面に近づくにつれて減少し、一方でタルクが増加し、約200 µm幅のタルクのみからなるすべり帯を形成している。緑泥石は温度上昇に伴う脱水反応によってタルクへと変化することから、これらの観察結果は、摩擦熱を伴う地震性すべりが生じたことを示している。(2) 緑泥石からタルクへの変化には、一般にSiに富む成分の供給と、反応生成物としてAlを含む鉱物相の析出が必要である。しかし、本試料ではそのような鉱物相は認められない。このことは、反応に必要な成分が外部から供給され、反応生成物は系外へ運び去られたことを示している。したがって、これらの結果は、地震性断層形成の過程に流体が深く関与していたことを強く示唆する。(3) 主すべり面に隣接する厚さ約2~3 mmの領域では、緑泥石は破砕され、剪断変形を受けており、R1、P、およびY剪断面がよく発達している。この剪断帯内の緑泥石のみにCrが含まれており、さらに数百µmサイズの不透明鉱物も存在する。これらの特徴は、上記とは異なる化学組成をもつ流体が、この剪断破砕帯へ浸透したことを示唆している。主な結果は以下のとおりである。(1) 緑泥石岩を構成する緑泥石は主すべり面に近づくにつれて減少し、一方でタルクが増加して、幅約200 µmのタルクのみからなるすべり帯を形成している。緑泥石は温度上昇に伴う脱水反応によってタルクへと変化することから、このすべり帯は、摩擦熱を伴う地震性すべりによって形成されたと考えられる。(2) 緑泥石からタルクへの変化には、一般にSiに富む成分の供給と、反応生成物としてAlを含む鉱物相の析出を伴う。しかし、本試料ではそのような鉱物相は認められない。このことは、反応に必要な成分が外部から供給される一方、反応生成物は系外へ移動したことを示している。したがって、地震性断層形成の過程には流体が深く関与していたことが強く示唆される。(3) 主すべり面に隣接する厚さ約2~3 mmの領域では、緑泥石は破砕されて剪断変形を受け、R1、P、およびY剪断面がよく発達している。また、この剪断帯内の緑泥石のみにCrが含まれ、さらに数百 µmサイズの不透明鉱物も認められる。これらの特徴は、(2)で示した流体とは異なる化学組成をもつ流体が、この剪断破砕帯へ浸透したことを示唆している。(4) 緑泥石岩の未変形部には共役脆性割れ目が認められる。これらの共役割れ目から推定される最大主応力方向は、前述のR1およびP剪断面の配列と一致する。このことは、本試料が脆性破壊の開始からその後の断層すべりに至るまで、一貫した応力場のもとで変形したことを示している。さらに、共役割れ目から推定される内部摩擦角は極めて小さく(5°未満)、破壊時にも流体が存在していたことを示唆する。(5) 主すべり面を構成する断層面上には、Caに富む角閃石がスリッケンファイバーとして成長している。この繊維状結晶の成長は、緑色片岩相条件下においてクリープ型の断層すべりが生じたこと、ならびに断層面に流体が存在していたことを示している。この非地震性クリープは、先行する地震性断層運動によって主すべり面上に形成された、含水条件下で極めて低い摩擦係数をもつタルク層によって促進されたと考えられる。
以上の結果から、内陸地震の震源深さで生じる断層形成過程において、流体が極めて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。さらに、地震性断層運動の後に、同一の断層面に沿って非地震性断層すべりへ移行する過程が存在することが示された。
