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[S2-13]An interesting earthquake swarm in northern Yamaguchi Prefecture
*Junichi Nakajima1 (1. EPS Department, Science Tokyo)
Keywords:
earthquake swarm
本講演では、2025年2月に活動を開始した山口県北部の群発地震(以下、山口群発地震)の概要を紹介するとともに、この事例が示す地震発生過程に関する重要な示唆を議論する。山口群発地震には、従来の群発地震とは異なる三つの特徴がある。第一に、通常の地震発生帯より深い下部地殻(深さ25〜40 km)で発生したことである。この地域では少なくとも過去25年間、下部地殻で地震は確認されておらず、本来は塑性的に変形すると考えられる領域で突如として群発地震が始まった。すなわち、下部地殻で脆性破壊を可能にする何らかの「起動スイッチ」が働いたと考えられる。第二に、震源が180日以上にわたりジグザグ状に移動し続けたことである。活動は南西部で始まり、その後、東、北東、北西へと系統的に移動した。震源域は約10 km四方と小さい一方、2025年2月から7月末までの累積移動距離は約160 km、平均移動速度は約0.9 km/日であった。活動はその後も継続し、2026年5月現在も震源移動が認められている。このような長期間に及ぶ持続的な震源移動のメカニズムは大きな謎である。第三に、群発活動初期に、震源域のさらに深部にあたる深さ約72 kmの上部マントルで深発地震が発生したことである。この地域では過去25年間に同様の深発地震は報告されておらず、下部地殻の群発地震と共通の要因によって誘発された可能性が高い。Nakajima et al. (JGR, 2026)では、その要因としてマントルウェッジから上昇する高温流体を提案した。深部流体は上昇途中の深さ約72 kmで局所的に滞留し、間隙流体圧の上昇によって深発地震を引き起こす。その後、下部地殻まで到達した高温流体が断層帯へ選択的に流入し、断層中の含水鉱物の脱水反応を促進する。脱水によって新たに生成された流体は断層強度を低下させ、通常は塑性的な下部地殻で一時的な脆性破壊を可能にしたと解釈した。本モデルでは、外部から供給される高温流体と脱水反応で生成される流体との正のフィードバックにより、長期間に及ぶ群発地震と震源移動を説明できることを示したが、その妥当性の検証は十分でない。物質科学的知見および水-岩石相互作用の観点からの議論をお願いしたい。
