Presentation Information
[S2P-04]Change in physicochemical properties and microstructures due to carbonate reactions between ultramafic rocks & CO2-bearing fluid at room temperature
*Shuto Nakagawa1, Ikuo Katayama2, Tomohiro Ito2, Tadashi Yokoyama3 (1. Hiroshima Univ. Sci, 2. Kyoto University, 3. Hiroshima Univ. TSE)
Keywords:
CCS,Peridotite,Serpentinite,Nesquehonite
二酸化炭素の地中貯留(CCS)の中でも地中の超塩基性岩と二酸化炭素を反応させ、鉱物として固定する鉱物トラップはその安定性・長期保存性から注目されている。特にマントルを構成するかんらん岩は二価の陽イオンを多量に含むため二酸化炭素の貯留ポテンシャルが高い。しかし、鉱物トラップを実用化する上で主要な課題として、炭素固定をモニタリングする手法が未確立であり、低温環境下での炭酸塩化プロセスには未だ不明点が多い。そこで、本研究では室温炭酸水とかんらん岩および蛇紋岩の反応によって岩石物性(空隙率、電気比抵抗、地震波速度)や流体の化学特性(pH、イオン濃度)の時間変化の測定および反応岩石試料の微細構造を観察することで、炭素固定をモニタリングする際に有効なパラメータを確立するとともに、超塩基性岩の炭酸塩化プロセスを明らかにすることを目的とした。試料は北海道の幌満川沿いで採取された水質変質をあまり受けていないかんらん岩と、千葉県の房総半島で採取された蛇紋岩を用いた。各試料を一辺15mm程度のキューブ状に加工し、超純水とともに個別の小型容器へ封入。その後、圧力容器内に静置した。圧力容器内を真空引きした後、CO2ガスを圧入し、PCO2=1MPa (pH = 3.9)、室温条件下で静置した。反応期間は CO2注入から10回(1日、2日、5日、10日、20日、50日、100日、200日、300日、500 日)小型容器を回収した。回収した岩石試料から空隙率、電気比抵抗、地震波速度の物性を測定するとともに、流体のpHやイオン濃度(Mg、Siなど)を計測した。反応後の試料はFE-SEMによる反応面の微細組織観察とEDSによる測定を行った。加えて、上記の純水条件下の実験とは別に、標準海水条件下(0.5mol/L)でも同じ実験を行い反応プロセスの違いを調べた。測定の結果、かんらん岩の物理特性には大きな変化が見られなかったのに対し、蛇紋岩の物理特性は反応による顕著な変化が見られた。蛇紋岩の空隙率は反応前の1%から3%程度まで上昇し、それに伴い電気比抵抗の低下が確認されたが、地震波速度には有意な違いは見られなかった。これは空隙の増加は試料の表面に限られるためバルクの空隙率は変化しても、地震波速度の測定には大きな影響を示さない可能性がある。流体の化学特性については、かんらん岩と蛇紋岩どちらも反応によるpHの上昇およびイオン濃度の変化が見られた。特に、流体組成の変化はかんらん岩よりも蛇紋岩で顕著であった。pHは反応開始直後から急上昇し、飽和pHはかんらん岩の5.5に対し、蛇紋岩が6.6 に達した。また、溶出したイオン濃度比(Mg/Si)を見ると、かんらん岩はかんらん石の組成を反映した2:1であった。一方、蛇紋岩のMg/Si比は20:1と、Mgが過剰に溶出した。これは蛇紋岩に含まれるブルーサイト(Mg(OH)2)の溶脱に起因すると考えられる。さらに、流体組成に基づく炭酸塩飽和指数の計算から、蛇紋岩では100日目以降に過飽和状態となり、炭酸塩鉱物が沈殿しうる環境にあることが示された。熱力学的平衡論に基づけばマグネサイト(MgCO3) の生成が予測される領域であるが、実際には準安定相であるネスケホナイト(MgCO3・3H2O) が生成している可能性が高い。微細構造観察では、時間の経過とともに褐色の反応フロントが蛇紋岩内部へ進行する様子が確認された。これは鉱物の溶脱による空隙率の増加と流体浸透を反映している。500日目には反応面の厚さが600µmに達しており、この成長挙動が放物線的であることから、本反応プロセスは拡散律速であることが示唆される。
