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[S3-05]The Importance of Early-Stage Metasomatism in the Listvenitization of Serpentinite at mantle-crust interface

*Shunya Okino1, Atsushi Okamoto1, Dandar Otgonbayar1, Madhusoodhan Satish Kumar2 (1. Tohoku Univ. Environ. , 2. Niigata Univ. Sci.)

Keywords:

Mantle wedge,Carbontion,Metasomatism,Listvenite

【はじめに】超苦鉄質岩の炭酸塩化は,沈み込み帯や海洋リソスフェア,内陸の断層帯など広範なセッティングで生じ,副生成物としてタルクまたは石英を生成する.タルクは摩擦係数が低く,炭酸塩化を通じて形成されたタルクはサンアンドレアス断層における非地震性クリープ[1]や,浅部沈み込み帯における剪断強度低下[2]に関与すると考えられている.一方,石英は多くの実験条件下で速度弱化を示し,応力条件次第で摩擦不安定性を引き起こしうる.しかし,石英と炭酸塩鉱物からなる岩石であるリストヴェナイトの形成にはCO2に富む流体もしくは高い流体/岩石比が必要とされるため三波川変成帯のような典型的な古沈み込み帯では,中央構造線周辺を除きリストヴェナイトの報告例に乏しい.発表者らは,四国中央部三波川変成帯の泥質片岩と接する超苦鉄質岩中の反応帯に,石英と炭酸塩鉱物を発見した.本発表ではこの試料に着目し,(1)交代作用の有無が炭酸塩化による鉱物組み合わせ(タルク+炭酸塩か石英+炭酸塩か)をどのように変化させるか,(2)その違いが地殻-マントル境界のレオロジーにどのような不均質性を生み出すか,を明らかにする.
【地質概説・手法】対象とする蛇紋岩体は、三波川変成帯の四国猿田川地域(北緯33°54′05.1″,東経133°29′56.5″)のざくろ石帯に露出する10m程度の岩体である.蛇紋岩体と泥質片岩の境界には幅約1 mの交代反応帯が発達し,蛇紋岩,タルク–炭酸塩岩,透閃石–炭酸塩岩,緑れん石–緑泥石岩,白雲母岩,曹長石岩,泥質片岩から構成される[3].薄片観察に加え,µ-XRF・EPMAによる元素マッピング,EBSD,およびラマン分光法による炭質物温度計を用いた.また、猿田蛇紋岩体の約1.7 km離れた富郷蛇紋岩体は炭酸塩鉱物を欠く同様の反応帯を示しており[5],本研究との比較対象とした.
【結果】蛇紋岩はアンチゴライト・クロマイト・磁鉄鉱からなり,かんらん石・輝石は含まない.厚い炭酸塩脈はマグネサイト・ドロマイトをタルクが取り囲む組織を示す.タルク–炭酸塩岩には蛇紋石は含まれず,タルク・緑泥石・ドロマイト・石英・角閃石・スピネルから構成される.透閃石–炭酸塩岩はポッド状の産状を呈し,透閃石に富む層と炭酸塩(ドロマイト・方解石)+緑泥石+石英に富む層が約5 mm間隔で繰り返す明瞭な片理構造を示す.角閃石は局所的にマイクロブーディン構造を示し,そのネック部は低歪みの石英で充填されている.一方,劈開部にはドロマイトが優先的に析出し,置換は見られない.周囲の泥質片岩の炭質物温度計によって得られた最高被熱温度は482 ± 8 °Cで先行研究[4]と調和的であり,透閃石-炭酸塩岩のドロマイト-カルサイト温度計は350–400 °Cを示し,ピーク温度より100°C近く低温で炭酸塩化が起きたことを示す.
【考察】富郷蛇紋岩体の反応帯中の透閃石–緑泥石岩は,蛇紋岩からMgが溶脱し,Caが付加されることで形成されている[5].本研究の猿田蛇紋岩体も同様の交代作用を最高温度周辺で被ったのち,上昇過程で炭酸塩化作用を被ったと考えられる.炭酸塩化していない蛇紋岩と透閃石–緑泥石岩とH2O–CO2飽和流体を用いたシュードセクション計算を行った.その結果,350˚C-400˚Cにおいて,蛇紋岩ではタルク+炭酸塩鉱物が生成するのに対して、透閃石-緑泥石岩では石英+炭酸塩鉱物が生成されることが示された.これらの結果は,スラブ-マントル境界において、初期の交代作用によってバルク組成がSiやCaに富む層に変化すると,後退変成過程で生じる炭酸塩化生成物をタルク+炭酸塩から石英+炭酸塩へとシフトさせることを示唆する.地殻-マントル間での物質移動のあとに炭酸塩化が進行する場合,石英に富む領域が形成されて緑泥石からなる滑り面の形成を阻害する一方,地殻との物質移動をほとんど受けていない蛇紋岩の炭酸塩化ではタルクが形成され定常的なクリープが促進される,という2つのシナリオが考えられる.このようなレオロジー的なコントラストは,メガスラストや断層系においてパッチ状の歪み集中や力学的不均質性を生み出し,すべり挙動に影響を与える可能性がある.
[1] Klein, F. et al., 2022. Geophysical Research Letters 49, e2022GL099185.
[2] Papeschi, S. et al., 2025. Earth and Planetary Science Letters 666, 119488.
[3] Okamoto, A. and Oyanagi, R., 2023. Prog Earth Planet Sci 10, 39.
[4] Enami, M. et al., 1994. Contr. Mineral. and Petrol. 116, 182–198.
[5] Oyanagi, R. et al., 2023. Contrib. Mineral Petrol. 178, 27.