Presentation Information
[S3-06]Evolution of rock physical properties during mantle carbonation: Insights from listvenites and serpentinites in the Oman Ophiolite
*Ryosuke Morishita1, Ikuo Katayama2 (1. Hiroshima Univ. AdSE., 2. Kyoto Univ. Sci.)
Keywords:
Carbonation,Listvenite,Rock physical properties
一部の中央海嶺やアウターライズ断層など水岩石比の高い領域では,海洋リソスフェアを構成するマントル最上部がCO2を含む海水と反応することにより,かんらん岩の蛇紋岩化とともに炭酸塩化が起こると考えられている(Plank and Manning, 2019)。炭酸塩鉱物としてマントルに固定された炭素は,海洋プレートとともに地球内部へ沈み込むと,その後の脱炭素反応に伴うメルトや流体への放出,島弧火山の噴火により再び地球表層へもたらされる。このようにマントルの炭酸塩化は,地球の表層から内部にかけての全球的な炭素循環を理解する上で重要なプロセスの1つである。これまでの研究では,マントルの炭素循環に対する寄与は小さく見積もられてきたが(e.g., Kelemen and Manning, 2015; Alt et al., 2013),これらの推定はモデルごとに値が大きく異なり不確実性を含んでいる。そこで我々は,中米沖などで観測されている地震波速度や電気比抵抗の異常に着目し(Grevemeyer et al., 2018; Naif et al., 2015),岩石物性に基づくマントルの炭酸塩化の定量的な評価に取り組んでいる。
本研究では,炭酸塩化の程度が異なるかんらん岩や蛇紋岩の地震波速度,電気比抵抗,空隙率を測定し,炭酸塩化が岩石物性に与える影響について調べた。 本研究では,オマーンオフィオライトの蛇紋岩およびリスベナイト(炭酸塩化したかんらん岩)を用いて,静水圧下における地震波速度,電気比抵抗,空隙率の同時測定を含水条件下で行った。なお,北海道の幌満かんらん岩についても比較のため同様の測定を行った。実験では現在京都大学に設置されている容器内変形透水試験機を使用し、封圧を3 MPaから200 MPaまで段階的に加圧しながら,1時間ごとに物性を測定した。間隙流体として海水と同程度の塩分濃度であるNaCl水溶液(0.5 mol/L)を使用し,間隙圧は1 MPaで一定とした。地震波速度の測定はパルス透過法により行い,試料長と波形初動の時間差からP波速度とS波速度をそれぞれ求めた。電気比抵抗の測定は2端子法により行い,試料を挟むように両端に取り付けた電極間の長さと試料の断面積,得られたインピーダンスと位相差から求めた。空隙率は,加圧により押し出された間隙流体の量をシリンジポンプで計測することで推定した。また,広島大学に設置されている粉末X線回折装置を用いてX線回折を行い,得られた回折パターンからリートベルト解析法に基づく鉱物定量分析を実施した。これにより実験試料の主要構成鉱物を同定するとともに炭酸塩鉱物の含有量を見積もった。
静水圧実験の結果から,かんらん岩,蛇紋岩,リスベナイトはそれぞれ特徴的な物性値を示した。また,加圧とともに地震波速度・電気比抵抗は増加し,空隙率は減少する傾向を示した。これは圧密による空隙の閉鎖を反映している。なお,空隙率が1%未満であるかんらん岩と蛇紋岩は封圧200 MPaで空隙がほぼ完全に閉じたのに対し,空隙率が20%を超えるリスベナイトは空隙率の変化量は大きいものの空隙は完全には閉じないことが示された。X線回折を用いた定量分析の結果から,試料中の炭酸塩鉱物の割合はかんらん岩では0%,蛇紋岩では1-5%,リスベナイトでは8%程度であることが示された。さらに,今回用いたリスベナイト試料は先行研究でみられるものと比べてFuchsite(chromian muscovite)の割合が顕著に高い値(73%)を示した。
炭酸塩化プロセスにおいて水みちとなる空隙やクラックは非常に重要であるため,これらの形状や連結度について岩石物性から考察した。Kusterらによる有効媒質理論を用いて地震波速度と空隙率の関係から空隙のアスペクト比を評価すると,加圧とともに水みちとなる空隙のアスペクト比は小さくなり扁平状に変化することが示唆された。また,Modified Archie’s lawを用いて電気比抵抗と空隙率の関係から空隙の連結度を評価すると、実験試料はいずれも傾きm=2の理論曲線で説明できることが示された。バルク密度と地震波速度,電気比抵抗の関係から炭酸塩化による物性の変化を検討すると,Fuchsiteの形成を伴う炭酸塩化プロセスでは大幅な空隙率の増加を引き起こし,地震波速度と電気比抵抗が顕著に低下することが示唆された。今後はリスベナイト試料について,空隙率が低いもの(0.5-1.2%)や炭酸塩の割合が高くFuchsiteを含まないものとの比較を行うことで,マントルの炭酸塩化プロセスや炭酸塩鉱物の割合と物性の関係についてさらなる検討を進めていく。
本研究では,炭酸塩化の程度が異なるかんらん岩や蛇紋岩の地震波速度,電気比抵抗,空隙率を測定し,炭酸塩化が岩石物性に与える影響について調べた。 本研究では,オマーンオフィオライトの蛇紋岩およびリスベナイト(炭酸塩化したかんらん岩)を用いて,静水圧下における地震波速度,電気比抵抗,空隙率の同時測定を含水条件下で行った。なお,北海道の幌満かんらん岩についても比較のため同様の測定を行った。実験では現在京都大学に設置されている容器内変形透水試験機を使用し、封圧を3 MPaから200 MPaまで段階的に加圧しながら,1時間ごとに物性を測定した。間隙流体として海水と同程度の塩分濃度であるNaCl水溶液(0.5 mol/L)を使用し,間隙圧は1 MPaで一定とした。地震波速度の測定はパルス透過法により行い,試料長と波形初動の時間差からP波速度とS波速度をそれぞれ求めた。電気比抵抗の測定は2端子法により行い,試料を挟むように両端に取り付けた電極間の長さと試料の断面積,得られたインピーダンスと位相差から求めた。空隙率は,加圧により押し出された間隙流体の量をシリンジポンプで計測することで推定した。また,広島大学に設置されている粉末X線回折装置を用いてX線回折を行い,得られた回折パターンからリートベルト解析法に基づく鉱物定量分析を実施した。これにより実験試料の主要構成鉱物を同定するとともに炭酸塩鉱物の含有量を見積もった。
静水圧実験の結果から,かんらん岩,蛇紋岩,リスベナイトはそれぞれ特徴的な物性値を示した。また,加圧とともに地震波速度・電気比抵抗は増加し,空隙率は減少する傾向を示した。これは圧密による空隙の閉鎖を反映している。なお,空隙率が1%未満であるかんらん岩と蛇紋岩は封圧200 MPaで空隙がほぼ完全に閉じたのに対し,空隙率が20%を超えるリスベナイトは空隙率の変化量は大きいものの空隙は完全には閉じないことが示された。X線回折を用いた定量分析の結果から,試料中の炭酸塩鉱物の割合はかんらん岩では0%,蛇紋岩では1-5%,リスベナイトでは8%程度であることが示された。さらに,今回用いたリスベナイト試料は先行研究でみられるものと比べてFuchsite(chromian muscovite)の割合が顕著に高い値(73%)を示した。
炭酸塩化プロセスにおいて水みちとなる空隙やクラックは非常に重要であるため,これらの形状や連結度について岩石物性から考察した。Kusterらによる有効媒質理論を用いて地震波速度と空隙率の関係から空隙のアスペクト比を評価すると,加圧とともに水みちとなる空隙のアスペクト比は小さくなり扁平状に変化することが示唆された。また,Modified Archie’s lawを用いて電気比抵抗と空隙率の関係から空隙の連結度を評価すると、実験試料はいずれも傾きm=2の理論曲線で説明できることが示された。バルク密度と地震波速度,電気比抵抗の関係から炭酸塩化による物性の変化を検討すると,Fuchsiteの形成を伴う炭酸塩化プロセスでは大幅な空隙率の増加を引き起こし,地震波速度と電気比抵抗が顕著に低下することが示唆された。今後はリスベナイト試料について,空隙率が低いもの(0.5-1.2%)や炭酸塩の割合が高くFuchsiteを含まないものとの比較を行うことで,マントルの炭酸塩化プロセスや炭酸塩鉱物の割合と物性の関係についてさらなる検討を進めていく。
