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[S3-08]Strength of MORB in the Mantle Transition Zone and the Rheological Structure of Subducting Slabs

*Tomoaki KUBO1, Marimo Nakabayashi1, Yuta Goto1, Rikuto Honda2, Yuki Shibazaki3 (1. Kyushu Univ., 2. Kyoto Univ., 3. KEK PF)

Keywords:

mantle transition zone,high pressure deformation experiment,synchrotron radiation,Majoritic garnet,flow law

マントル遷移層下部(660 km不連続面直上)は、沈み込む海洋プレートが周囲のマントルと相互作用しながら大きく変形する物質循環上の重要な領域である。また、地震学・鉱物物理学的研究から、玄武岩質地殻と枯渇ハルツバージャイトが分離・集積する可能性も指摘されている。このような物質分化を理解する上で、それぞれの構成岩石の密度だけでなくレオロジーの違いが重要となる。遷移層スラブの主要構成鉱物はリングウッダイトとメージャライトガーネットであり、メージャライトガーネットの体積割合はパイロライトで約40%、MORBでは約90%に達する。しかし、ガーネットの塑性変形実験の多くは5 GPa以下で行われており、マントル遷移層圧力下におけるメージャライトガーネットのレオロジーは十分に明らかになっていない。本研究では、マントル遷移層圧力下でMORBの塑性変形実験を行って、メージャライトガーネットの強度特性を明らかにするとともに、遷移層スラブのレオロジー構造を考察した。

遷移層MORBは主にメージャライトガーネット(Mjgt)と 10%程度のステショバイト(St)で構成され、遷移層下部で Ca ペロフスカイト相(Capv)の析出が始まる。九州大設置の MA 型高圧装置を用いて、圧力条件を変えながら、Capv 含有量の異なる 3 種類の遷移層 MORB 多結晶体(Mjgt+St、 Mjgt+St+5%Capv、 Mjgt+St+15%Capv)を MORB ガラスより合成し、変形実験の出発物質とした。 変形実験は放射光施設 PF-AR のビームライン NE7A に設置されている一軸圧縮プレス(MAX-Ⅲ)に D-111 型ガイドブロックを組み込んで行った。実験条件は 15-24GPa、800K-1600K、歪み速度は 0.8-7 x 10-5s-1 である。60keV の放射光単色 X線を用いて、二次元 X 線回折から試料の差応力を求め、ラジオグラフィーにより試料の歪み量を測定し、各実験条件で応力−歪み曲線を得た。Capv を含む試料については実験前には非晶質化しているため、常温加圧後、変形実験を行う前に 1400K 付近でアニールし、Capv を結晶化させたのちに、目的の温度で変形実験を行った。

Mjgt+St 多結晶における Mjgt の塑性強度は、800K-1400K で ~5-6GPa と大きくまた緩やかな温度依存性をもつが、 1400K以上で温度依存性が大きくなり、1650Kでは~1GPa まで減少する。低圧下で得られた先行研究の結果をふまえ解析した結果、 低温側ではパイエルス応力7GPa 程度のパイエルス機構で流動し、1500K 付近で転位クリープに変形機構が遷移し、 その活性化体積は 8cm3/mol 程度と推定された。Capv を含まない MORB 層の Mjgt は、パイエルス機構および転位クリープ両方の領域において、カンラン岩層の主要鉱物であるリングウッダイトよりも硬い。一方で、Capv が含まれた場合、Mjgt の塑性強度は低温側でほとんど変化はないが、高温の転位クリープ領域においてのみ非常に小さくなる。その理由は現時点では明らかではないが、細粒Capv の超塑性や MjgtのCa量の変化が影響している可能性がある。

予察的に、Capv が析出しない条件で、スラブカンラン岩領域をRw、MORB領域をmjgtとして、遷移層スラブの強度断面を考えた場合、冷たいスラブから暖かいスラブまでの幅広い温度構造で、MORB がスラブカンラン岩より硬くなる。特にスラブモホでの強度コントラストは大きく、MORB層の粘性率は、スラブ本体からの剥離が生じると考えられている1021-1023Pas程度に達する可能性が示された。今後はCapv析出やRwの加水軟化、スラブカンラン岩をRwとmjgtの2相系とした場合等の影響について、検討を行っていく。