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[S3-09]Divorced eutectoid growth in the post-spinel transformation weakens lower-mantle slabs

*Yuta Goto1, Tomoaki Kubo1, Rikuto Honda2, Yuki Shibazaki3, Yuji Higo4, Yoshinori Tange5, Akio Suzuki6, Masaaki Miyahara7 (1. Kyushu Univ. Sci., 2. Kyoto Univ. Sci., 3. KEK-PF, 4. JASRI, 5. Sumitomo Electric, 6. Tohoku Univ. Sci., 7. Hiroshima Univ. Adv. Sci. Eng.)

Keywords:

high-pressure deformation experiment,in-situ X-ray observation,eutectoid reaction,grain-size-sensitive creep,weak-phase interconnection

1. はじめに
 下部マントルに沈み込んだ海洋プレート(スラブ)は大きく変形して下部マントル上層(660–1000km)に滞留することが地震波トモグラフィ解析により示されており、スラブが下部マントルへ貫入する際に弱化することが示唆されている。上下マントル境界で起こるポストスピネル相転移 (Mg,Fe)2SiO4 Ringwoodite (Rw) → (Mg,Fe)SiO3 Bridgmanite (Brg) + (Mg,Fe)O Ferropericlase (Fp) は共析反応であり、微細な共析ラメラ組織を形成するため、相転移に伴う実質的な粒径減少により粒径依存クリープが卓越してスラブが弱化する可能性が指摘されてきた。これまで、あらかじめ合成されたポストスピネル相の変形実験は行われてきたものの、下部マントル圧力条件下でポストスピネル相転移の進行と変形を同時に観察して、相転移に伴う強度変化を直接的に評価した実験は行われていなかった。本研究では、D-111型高圧変形装置と放射光X線その場観察を用いて、下部マントル圧力条件下にてポストスピネル相転移を伴う変形実験を行い、相転移による組織変化がマントル物質をレオロジー的に弱化させることを実験的に示した。また、相転移時の過剰圧に応じて、従来想定されてきた共析ラメラ組織の細粒化に加え、非ラメラ状の離反共析成長(divorced eutectoid growth)に伴って弱相連結組織が形成されることを明らかにした。

2. 実験方法
高圧変形実験は、放射光施設PF-ARのNE7A設置の高圧発生装置MAX-ⅢおよびSPring-8のBL04B1設置の高圧発生装置SPEED-Mk.IIにD-111型ガイドブロックを組み込んで行った。出発物質のサンカルロスオリビン組成Rw多結晶体を、一軸圧縮変形場の21–28GPa・1100–1400℃においてポストスピネル相転移させ、その間の相転移の進行と変形挙動(歪み・応力)を60keVの単色X線でその場観察した。試料の歪み速度は2.1–28×10-5、最終歪み量は26–47%であった。回収試料はFE-SEMを用いて微細組織観察を行った。

3. 結果と考察
 X線その場観察で得られた力学データは、本研究で行ったすべての変形相転移実験において、ポストスピネル相が弱化したことを示した。さらに、ポストスピネル相転移中の変形挙動と回収試料の微細組織観察の結果から、相転移時の過剰圧条件によって異なる2種類の弱化メカニズムが誘起されていたことが明らかになった。
大過剰圧条件(ΔP=4.0–5.3 GPa)では非常に微細な共析ラメラ組織が形成されており、その後のラメラ組織の粒状化により細粒な粒状組織が発達していた。変形強度は、観測された粒径から見積もられる拡散クリープ強度と整合的であり、力学データと組織観察結果の双方から、細粒化に起因する粒径依存クリープが弱化に寄与したことが示された。
一方、小過剰圧条件(ΔP=0–1.1 GPa)では共析ラメラ組織は形成されず、離反共析成長(divorced eutectoid growth)により、Rwから非ラメラ状のBrgとFpが直接形成された組織が観察された。この組織は、粒状のBrgとそれを取り囲むように分布するFpからなり、弱相であるFpが連結していることが示唆された。力学データはBrgとFpの応力差が小さいことを示しており、Fpの連結による弱相支配型の変形が生じたことと整合的であった。
本研究で見出された2つの弱化メカニズムは、実際の下部マントルスラブでは両方とも誘起されうる。離反共析成長に伴う弱相連結および粒径減少に伴う粒径依存クリープの卓越が同時に起きた場合、低温スラブの中心部であっても周囲の下部マントルを下回るほどの低粘性になると考えられる。