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[1K08]Dialogues on dynamic coastal fisheries resource utilization: communication and social capital

*NAOKI TOJO1 (1. HOKKAIDO UNIVERSITY)

Keywords:

Fishing,Coastal fisheries resorces,Communication,Bottom-up approach,Development

気候と海洋環境の変化の影響を受けながら海洋資源に依る世界の沿岸漁業者の経済状況は厳しい。さらに,競合的で排除不可能な沿岸の水産資源を持続的に共有することは困難に見える。さまざまな課題の中で,日本も含め多くの国々で沿岸資源の管理と特に小規模漁業者の経済活動を両立することは懸案となっている。「コモンズの悲劇」に対し考えられるアプローチの一つがボトムアップ・アプローチによる共同体ベースの資源利用の管理であり,様々な開発事例で採用されている。一方でメンバー間のコミュニケーションが動的な水産資源利用の管理の成功・不成功に本当に影響を与えるのか,そして影響を与えるとすればどのように影響を与えるのか,フィールド研究と実験研究を通して検証することは有意義である。本研究の目的は水産資源利用における個人間・共同体間の対話とそのほかの要因が資源の持続可能性と資源利用に影響を与えるかどうかを明らかにすることである。インドネシア,ジャワ島西部の零細漁村におけるゲーム実験を用いたフィールド調査とボランティアグループによる協力実験の結果をもとに,沿岸漁業共同体でのボトムアップ・アプローチの効果を探った。フォーカス・グループとの資源ゲーム実験の結果,参加チーム間でコミュニケーションを行わない状態でも資源利用を持続することができた。インタビュー内容からは他のチームに配慮した利用を行っていたことがわかった。一方,日本のボランティアによって行われた同様の実験では数ターンで資源が枯渇した。コミュニケーションを許した場合,インドネシアのチームは合意形成に時間を要し,資源の持続性は維持したもののチームによっては漁獲しないケースがみられた。コミュニケーションに制限があっても,社会関係資本が培われていれば資源利用を維持できることが確認された。ただしその利用が必ずしも経済的に裨益するとは限らないことが示された。

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