Presentation Information

[スポーツ文化-B-03]「野球のまち」推進事業を支える地域住民の取り組み(史,人,社)スポーツを通じた地域開発の観点から

*Rie Yamada1 (1. National Institute of Fitness and Sports in Kanoya)
PDF DownloadDownload PDF
徳島県阿南市は、日本の自治体で初めてとなる野球推進のための課(「野球のまち推進課」)を設置し、野球によるスポーツ・ツーリズムをいち早く展開させた「野球のまち」として知られる。本研究では、その阿南の野球推進事業をボランティア活動で支援する女性市民の団体“ABO 60”の活動実態に焦点をあて、現地調査および参与観察、関係者へのアンケート・インタビュー調査、資料収集を行い、スポーツを通じた地域開発の観点から、地域の持続的、内発的発展における地域住民の活動の意義と課題について考察することを目的とした。
 阿南市の野球推進事業については、たとえば、2019年度までの研究成果に基づいてその効果がまとめられており、“ABO 60”についても言及されている。しかしながら、同市では2019年12月に市長が交替、事業費の削減等野球推進をめぐる状況も変化した。2023年12月に現市長が就任し、再び野球推進への転換が図られている。
 60歳以上の女性の阿南市民有志からなるチアリーダーのチーム“ABO 60”(2014年1月結成、現在85歳のメンバーら約60名が所属)は、同市の高齢者野球チームが出場する県内外の大会での応援や野球大会で同市を訪れる関係者との交流を中心に、阿南警察署安全安心大使として徳島県警察の特殊詐欺被害防止啓発動画出演等幅広く貢献してきた。市政の変化に伴い活動の機会が減少した状況下でも、徳島県で開催された全国大会の総合開会式や地域のイベントにおけるパフォーマンスの披露等で存在が示された。本研究では、地域住民による特色ある取り組みの事例(山田、2019;山田ほか、2022)とも比較しながら、阿南市の野球推進事業と地域住民の活動の今後の方向性を検討することを通して、地域に固有の魅力ある取り組みや実践の、スポーツを通じた地域開発からみた可能性も探る。

Comment

To browse or post comments, you must log in.Log in