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[競技スポーツ-A-26]マラソンにおけるレース後半の失速と換気性代謝閾値時の脂質酸化量に関係はあるのか?(生)
*Shota Oki1, Daichi Hatakeyama1, Yoshiharu Nabekura2 (1. Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba, 2. Faculty of Health and Sport Sciences, University of Tsukuba)
【背景】42.195kmを走るマラソンの完走には膨大なエネルギーが必要であり、そのエネルギー源であるグリコーゲンの枯渇はレース後半の失速の要因の一つとされる。一方、もう一つのエネルギー源である脂質を多く利用できると、運動中のグリコーゲンの消費を節約できる(Costill et al.,1977)。したがって、脂質を利用する能力が優れたランナーは、マラソンで失速しにくいと考えられる。本研究ではマラソンの運動強度に相当する無酸素性代謝閾値時の走速度(vAT)における脂質酸化量(FO at vAT)に着目し、漸増負荷試験によって測定したFO at vATとレースにおける失速の関係を検討した。【方法】対象者は2023年開催のつくばマラソンに出走した24名(男21名、女3名)である。対象者は漸増負荷試験にて生理学的能力の測定を行った。本研究ではvATを換気性代謝閾値時の走速度(vVT)とした。マラソンの結果から、失速群と非失速群の2群に分類し、対応のないt検定で比較した。さらに、マラソンのペース配分と失速の有無に応じて群分けした。vVTを基準にスタートから中間地点までの前半相対走速度を算出し、この値が100%を超えるか否かでオーバーペース(OP)か非オーバーぺース(NOP)か判定した。OP、NOPの中から失速の有無によって計4群に分類した。対象者数に限りがあるため、分析では3群(OP失速、OP非失速、NOP非失速)を一元配置分散分析で比較した。p≦0.05とした。【結果】失速群と非失速群のFO at vVTに有意差はなかった(失速群 5.0±2.2 vs. 非失速群 6.0±2.1 mg/kg/min)。一方、最小脂質酸化量時の運動強度(Fatmin)に有意差があった(失速群 93.0±3.0 vs. 非失速群 96.2±4.4%VO2max、p≦0.05)。3群の比較では全ての生理学的指標に有意差はなかった。
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