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[競技スポーツ-A-14]卓越した剣道女子選手における実践知の獲得過程に関する事例研究(方)得意技獲得の転機に着目して

*Miho Takenaka1, Hiroshi Aida2 (1. Doctoral Program in Coaching Science, University of Tsukuba, 2. Institute of Health and Sport Sciences, University of Tsukuba)
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卓越した剣道選手は、得意技に関して「どのような感じで動くとできるのか」といった主観的な情報(コツ)を実践知として持っている。育成年代の選手指導をより充実させるためには、卓越した選手が得意技をどのように獲得していったのか、その過程を検討する必要があろう。本研究では、国際レベルで活躍した剣道女子選手を対象に、得意技を獲得したきっかけや動きのコツを獲得した過程についてインタビュー調査を行い、その語りを質的に検討し、得意技に関する実践知の獲得過程について明らかにすることを目的とした。 研究対象者は、日本代表として活躍した経験を持ち、自身の得意技を国際レベルまで高め、行為の意味を語りによって提示できると本研究者が判断した剣道女子選手A氏であった。A氏の得意技は小手であった。 A氏は得意技の獲得過程に関して、「13歳の時に初めて打ち始めたが、これは本能的に打っている」「高校時代でそれ自体の動きを習得して、技として使えるようになったのは大学生くらい」「緩急とか強弱とかは、大学生の時、相手を油断させるために使っていた」「(社会人になってから出場した)世界大会の決勝で、小手を打ったところを相手に抜き技を取られ敗北した…こういう人には打ったらダメだということを学習した」「自分が得意だと思っていても効かない相手がいる…打突自体は早ければ良いものじゃないと理解した」「練度が上がって行って30歳過ぎたくらいに自分の動きがどうなのかを理解したことで失敗が少なくなった」と語っていた。 これらの語りから、A氏が得意技を獲得する過程での最も大きな転機は、世界大会決勝で敗北した試合であること、転機前は相手の動きや試合状況を考慮せず、スピードのみで有効打突にすることを意識していたこと、転機後は相手の戦術的意図を読み取って対応するようになり、得意技の強みや弱みを理解して得意技が洗練されていったことが示唆された。

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