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[競技スポーツ-A-42]重度なスポーツ傷害の経験が外傷後成長へと変容させる要因(生)女子サッカー選手を対象として
*Toshihiro Kitada1,2, Jun Seino3, Mitsugi Ogata4 (1. Takekawa Hospital, 2. University of Tsukuba Doctoral Program in Sports Medicine, 3. KIRYU UNIVERSITY・ KIRYU UNIVERSITY JUNIOR COLLEGE, 4. Faculty of Health and Sport Sciences, University of Tsukuba)
女子サッカーは重度なスポーツ傷害発生率が高く,重症度に応じて手術やリハビリテーションが必要となり,様々な心身の変化が生じる.一方,その過程において人間として成長する可能性が示唆されており,それは外傷後成長(Posttraumatic Growth)という.本研究は,重度なスポーツ傷害の経験が外傷後成長へと変容させる要因を明らかにすることを目的とした.対象者は,重度なスポーツ傷害経験のあるプレナスなでしこリーグ1部所属のTop選手38名とYouth選手16名,計54名(平均年齢22.2±4.7歳,競技歴15.5±1.7年)とした.方法は自記式質問紙法にて実施し,調査項目は基本的属性,スポーツ傷害,ならびに外傷後成長とした.なお,外傷後成長については,日本語版外傷後成長尺度を用いた.分析は単純集計およびステップワイズ法を用いた重回帰分析を実施した.有意水準はいずれも5%未満とした.最も多い疾患は前十字靭帯損傷であった.印象に残るサポート実施者はトレーナーが最も多く,印象に残るサポート内容は身体的サポートであった.また,「受傷時の精神的衝撃度が高い」(10段階中9以上),「受傷場面が試合中」,「手術歴がある」,以上の3つの要因は日本語版外傷後成長尺度高得点者との関連を認めた.一方で,基本的属性やスポーツ傷害に関する項目等は,関連を認めなかった.これらの結果から,試合中に受傷し,受傷時の精神的衝撃度が高く,手術を要するような,過酷な状況におかれた選手は,スポーツ傷害の経験を外傷後成長へと変容させる要因が高いことが明らかになった.申(2022)によれば,日本女子サッカーは不安定な競技環境であることが示されている.幼少期から不安定な環境での競技を経験してきた選手達は,レジリエンスが構築され,重度なスポーツ傷害を成長へと変容させることができるものと推察する.
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