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[競技スポーツ-A-22]投手コーチのコーチングアプローチに関する研究(方)初心者投手コーチと卓越した投手コーチの違いに着目して
*Taiyo Nishino1, Masamitsu Ito1 (1. Nippon Sport Science University)
野球において投手は、勝敗の7割を占める重要なポジションとされている。また、日本高校野球連盟は投手の球数制限を設けたため、1チームにおいてより多くの投手を育成することが勝利の要因となる。しかし、投手育成に関して不安や悩みを持つ指導者が、3割にも達することが報告されている。筆者も投手経験がなく、現在の指導現場において不安を抱えている。本研究は初心者投手コーチ(筆者)と卓越した投手コーチ(Tコーチ)のコーチングアプローチの違いを明らかにし、投手指導における知見を得ることを目的としている。対象の筆者は競技歴15年、指導歴1年である。投手経験はなく主に内野手としての競技歴である。現在は神奈川県I高校にて投手コーチを担っている。一方、Tコーチは競技歴18年、投手指導歴8年の経験を持つN大学硬式野球部投手コーチであり、NPB現役選手引退後にはコーチング学の修士号を取得し、投手育成に関する本を出版している。データ収集にはビデオカメラとICレコーダーを使用し、総取得時間は筆者95分、Tコーチ755分のデータを得た。得られたデータはArizona State University Observation Instrument(ASUOI)の16項目を用い分析した。ASUOIは、16の行動カテゴリーに分類された行動評価項目に対して、現場でのコーチ行動の比率を量的に評価する手法である。分析の結果、筆者は動作終了後にフィードバックを行うのに対して、Tコーチは動作中にフィードバックを行う結果が得られた。複雑な動作においては動作中のフィードバックが運動学習を促進することが効果的であると報告されている。したがって動作中に指導を行うことで、選手の外的な注意を集中させる効果があると考えられた。これらの知見は、投手指導におけるコーチングアプローチの理解に寄与し、今後の指導者に有益な示唆を提供するものとなった。
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