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[学校保健体育-B-14]器械運動におけるタオルを用いた倒立指導に関する事例研究(教,方)大学初級者を対象として

*Ruka Sameda1, Moriatsu Nakasone2 (1. Tokyo Gakugei University Graduate School of Teacher Education, 2. Tokyo Gakugei University)
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平成29年に告示された学習指導要領において倒立は、巧技系、平均立ち群、倒立グループに分類され、側方倒立回転や前方倒立回転とび等、倒立経過の回転運動につながる基礎となる技である(文部科学省、2017)。これまでに提示されている倒立を実施する際のポイントは、指の方向、両手の間隔、肘の伸展、肩角度、頭の位置と視線、胸の含み、腰の伸展、下肢の伸展の8点が挙げられ(吉田、1985)、さらに正しい頭の位置は「視線を両手の間に落とし、わずかに起こしたくらい」と指摘されている。この視線を両手の間に落としわずかに起こすことの意図は、頭部背屈を目的とし、逆位での定位感を容易に把握しやすくする(金子、1998)ことや、生理学的には対称性緊張性頸反射を促すことであると理解できよう。つまり、倒立時において対称性緊張性頸反射が促されることにより、肘の伸展を容易にし、正しい姿勢での倒立を実施することが可能となるのである。
 中学校や高等学校の体育実技教科書や器械運動の指導書等では、倒立を実施する際に、両手の間を見ることがポイントとして挙げられている(佐伯ら、2021;内田ら、2008)。しかし、幼児や大学生を相手に器械運動の指導補助をしてきた際に、筆者はこれまで初心者の多くから「どこを見ているのかわからない」といった声を多く聞くことがあった。これは、初心者がいざ倒立を実施する際に、足を振り上げることなど、視線以外について意識して実施している可能性があることが伺える。そのため、初心者に対して倒立指導を行う際には、視線の指摘によって頭部背屈を誘発させるのではなく、運動局面の前半から対称性緊張性頸反射を促す教材開発が必要であると考えた。
 そこで本研究では、視線について意識することなく、頭部背屈を促発させるための指導として、タオルを用いた指導を行った。指導の概要や結果、考察等の詳細については発表において報告する。

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