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[学校保健体育-A-15]民間フリースクールのスポーツ活動における児童生徒の行動変容(ア)挑戦的意欲に着目した質的検討

*mayu kaneko1, mayumi saito1 (1. University of Tsukuba)
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2022年度に不登校とみなされた小・中学生は29万9048人で増加を続けている(文部科学省,2023)。不登校児を支援する施設である適応指導教室では「個別の学習指導」「相談・カウンセリング」に次いで「スポーツ活動」が行われている(文部科学省,2019)。スポーツ活動は、不登校児童・生徒のストレス発散や交流の場の提供を意図するレクリエーションとして位置づけられている(原ら,2020)。齊藤(2006)は不登校児の回復過程において、安全な環境で心の再建が進んだ上で適切な高さのハードルになる社会活動の場が必要だと指摘する。しかし不登校児には不安定な対人関係があるとも指摘する。不登校児にとって他者との関わりを必要とするスポーツ活動に参加することは、適度なハードルとなる社会活動の場への挑戦であると考えることができる。過去の先行研究では、不登校児が社会的自立に向けて変容していく過程の中で行動変容を調査したものは少ない。そこで本研究ではフリースクールに通う不登校児の行動変容から挑戦的意欲のプロセス(野口,2016)を援用して、社会的自立に向けて成長する生徒に対する支援について検討することを目的とした。本研究の対象はA県にある民間フリースクールにおいて、観察開始時点で筆者と1ヶ月以上の関わりがあった小・中学生4名である。方法は参与観察及び観察期間の前後に実施した聞き取り調査、質問紙調査である。参与観察期間は202X年2月から6月までであり、その中でも特に不定期に行われている月1回程度の運動活動場面に着目して生徒の挑戦を捉えた。生徒を対象にした聞き取り調査は挑戦的意欲について尋ねた。保護者を対象にした質問紙調査では生徒の不登校事由、家庭での行動について尋ねた。これらから得たデータについて、モチベーション理論のひとつであるERG理論(Alderfer,1969)を基軸に考察を行なった。

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