Presentation Information

[学校保健体育-B-08]幼児期から中学生期の縦断的データによる各種運動能力のトラッキング検証(発)

*Yusaku Ogura1, Kosho Kasuga2 (1. Chubu Gakuin College, 2. Gifu Univ.)
PDF DownloadDownload PDF
本研究は,幼児期から中学生期の縦断的運動能力データを用いて,各種運動能力がどのようなトラッキング状況を示すか検証することを目的とした.分析対象は,年長時,小学3年時,小学6年時,中学3年時に運動能力測定を縦断的に実施した58名(男子:24名,女子:34名)であった.測定した体力要素は,筋力(= 握力),筋持久力(= 体支持持続時間 or 上体起こし),柔軟性(= 長座体前屈),敏捷性(= 反復横跳び1本線 or 3本線),速度 & 走力(= 25m走 or 50m走),瞬発力 & 跳力(= 立ち幅跳び),および協応性 & 投力(= ソフトボール投げ or ハンドボール投げ)であった.分析方法として,各種運動能力において,各学年間にどの程度の関連があるか検討するために,ピアソンの積率相関係数を算出し,無相関の検定を行った.なお,本研究の統計的有意水準はすべて5%未満とした.分析の結果,筋力,速度(走力),瞬発力(跳力),協応性(投力)は,すべての学年で有意な関連が認められた.また,速度(走力)に関しては,学年間が大きくなるにつれて相関係数が小さくなる一方,筋力,瞬発力(跳力)および協応性(投力)は,どの学年間であっても中程度以上の関連が認められた.一方で,筋持久力は年長時と小学3年時,小学6年時,および中学3年時間で,柔軟性は年長時と中学3年時間で,敏捷性は年長時と小学6年時および中学3年時間で有意な関連が認められなかった.これらのことから,幼児期からのトラッキング度合いが小さい運動能力(筋持久力,柔軟性,敏捷性)もある一方で,トラッキング度合いが大きい運動能力(筋力,走・跳・投といった基礎的運動能力)もあることが窺えた.そのため,幼児期においては,筋力や基礎的運動能力が育まれるような取り組みや環境設定が重要になるのではないかと考えられた.

Comment

To browse or post comments, you must log in.Log in