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[04生-口-01]中脳腹側被蓋野のドーパミンニューロンの障害がマウスの障害物回避歩行に及ぼす影響
*Akira Konosu1, Susumu Setogawa2, Dai Yanagihara3 (1. The University of Electro-communications, 2. Osaka Metropolitan University, 3. The University of Tokyo)
中脳から大脳へのドーパミンニューロンの神経線維連絡は運動、認知、学習等の神経機能に重要な役割を持ち、一方、パーキンソン病はドーパミンニューロンの細胞死による運動障害の代表例である。本研究では中脳腹側被蓋野(Ventral Tegmental Area: VTA)のドーパミンニューロンが歩行機能に果たす役割を明らかにするため、VTAを神経毒6-OHDAにより変性・脱落させたVTA群マウスと、生理食塩水を投与した偽手術群マウスに障害物歩行課題を行わせた。実験課題は、長さ40cmの歩行路に高さ6mmの板を設置し、マウスがそれを跨いで通り抜けるというものであった。VTA群は偽手術群よりも後肢のリード脚(障害物を先に跨いだ脚)の「踏みつけ」および「接触」試行が多く、後肢のトレール脚(障害物を後に跨いだ脚)の「接触」試行が少ない結果となった。偽手術群は、後肢リード脚による障害物の踏みつけを回避するため、障害物を跨ぐまたはその直前のストライドにおいてストライド長を調整(伸長または短縮)していた。一方、VTA群ではこの調整が不確実であった。また、VTA群は後肢リード脚が障害物を跨ぐストライドにおいて偽手術群よりも早いタイミングで爪先を挙上させていた。後肢トレール脚については、障害物を跨ぐ直前の離地の爪先位置と障害物との距離が小さいと障害物への接触確率が高まることが示唆され、この距離はVTA群よりも偽手術群の方が小さかった。前後肢間の爪先の距離は両前肢が障害物を跨ぐ直前に最小化し、この最小値は偽手術群よりもVTA群の方が大きかった。以上の結果から、VTA群は障害物や自己の脚の位置を正確に把握できていない可能性が示唆された。すなわち、VTAのドーパミンニューロンは、歩行運動の計画に必要な身体と外界、および身体部位間の位置関係を知覚・記憶する機能に重要な役割を果たすことが示唆された。
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