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[04生-口-02]体軸方向の受動的揺動が姿勢制御に及ぼす影響の解明

*Kosuke Noiri1, Yu Aramaki1 (1. Chukyo Univ)
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安定した姿勢制御には、頭部の動きを検知する前庭器の機能が大きく関与している。特に前庭器の一部である耳石器は、身体の直線的な動きや傾きを検知するセンサーであり、常に重力の影響を受ける地上で運動を実施するために重要な役割を担っている。近年、全身を上下に振動させる全身振動刺激や、乗馬によるバランス機能向上が報告されている。これらの共通点は身体の上下運動であり、耳石器の中でも体軸方向の加速度を検知する球形嚢を刺激している点である。しかし、これらの研究では体性感覚や視覚など複数の要因が影響しているため、球形嚢への刺激そのものがバランス機能向上に関与しているかどうかは明確ではない。そこで本研究は、体軸方向の受動的揺動介入後のバランス機能向上の要因を明らかにすることを目的とした。本研究の揺動介入は、揺動ベッドに仰臥位をとり、体軸方向に1.2Hzで4㎝の振幅の揺動を1分間行うものとした。この揺動介入について、以下の4つの条件を設定した。(1)開眼で固視点を見る開眼揺動条件①、(2)開眼でベッドと一緒に揺動する固視点を見る開眼揺動条件②、(3)閉眼で固視点を見ない閉眼揺動条件、(4)ベッドは揺動させず、固視点のみ揺動させて眼球のみを体軸方向に動かす眼球運動条件。11名の被験者を対象として、4つの揺動介入の前後に重心動揺を計測した(Pre、Post)。Pre測定では、閉眼仰臥位安静後に開眼・閉眼の重心動揺を計測し、Post測定では安静後に揺動介入を行い、重心動揺を再計測した。開眼重心動揺のpre値との比較をおこなった結果、開眼揺動条件①でのみ総軌跡長、x方向軌跡長が減少した。この結果から、体軸方向の揺動による球形嚢の刺激とその刺激方向に応じた眼球運動の繰り返しが、前庭と目の協調性を高め、バランス機能向上に寄与することが示唆された。

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