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[04生-口-04]大学アメリカンフットボール選手における競技歴と前頭回灰白質容積の負の相関
*Yasuhiro Honda1, Yu Aramaki1 (1. Chukyo Univ.)
アメリカンフットボールは強いコンタクトを伴う競技であり、その影響が選手の脳構造に及ぶ可能性が指摘されている(Arciniega et al., Brain, 2024など)。先行研究の多くは競技歴10年以上の被験者集団を対象としており、競技歴の浅い被験者集団を対象にした調査はほとんどない。そこで本研究では、比較的競技歴の浅い大学アメリカンフットボール選手を対象に、競技歴が脳の灰白質容積に与える影響を調べた。研究対象者は東海リーグ1部に所属する40名の大学アメリカンフットボール選手(男性; 21±1.1歳)であった。競技歴は平均3.6±2.3年で1年未満から10年の選手が含まれた。高解像度のMRI T1強調画像を計測し、Voxel based morphometry解析により、競技歴と相関する大脳灰白質量をもつ脳領域を同定した。解析の結果、競技歴と上前頭回の灰白質容積に有意な負の相関が認められた(p < 0.05、cluster levelの多重比較補正)。一方で、競技年数と正の相関関係を持つ領域は検出されなかった。すなわち、競技歴が長い選手ほど上前頭回の灰白質容積が減少していることが示された。さらに、解析対象者を大学1年次から競技を開始した競技歴4年未満の30名に絞っても同様の結果が得られた。アメリカンフットボールの競技歴が比較的浅い集団においても、競技歴に伴い上前頭回の灰白質容積が減少するという本研究の結果は、繰り返される頭部衝撃や脳震盪が原因である可能性がある。また、上前頭回は高次認知機能や情動制御に関与する領域であり、灰白質容積の減少はこれらの機能の低下を示唆する可能性がある。今後は、頭部外傷の頻度や重症度、認知機能との関連について詳細に調べるとともに、防具開発や練習方法の改善などの予防策を検討していく必要がある。本研究はJSPS科研費 21H03345 、23K21614の助成を受けた。
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