Presentation Information
[04生-口-05]小脳mTORC1過剰活性がマウスの歩行に及ぼす影響
*Takumi Komatsu1, Dai Yanagihara1,2 (1. Department of Life Sciences, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo, 2. Cognition and Behavior Joint Research Laboratory, RIKEN Center for Brain Science)
小脳は動物の歩行や姿勢など運動制御において重要な役割を果たしており、その構成要素であるプルキンエ細胞は情報処理において中心的な働きを担う。一方、mammalian target of rapamycin (mTOR)は細胞の代謝を制御する酵素であり、そのシグナル伝達経路は神経発達および結節性硬化症を含む種々の神経疾患との関連性が示唆されてきた。また、複合体であるmTORC1は成熟後の小脳プルキンエ細胞において過剰に活性化されると細胞死や神経変性を誘発することが知られているが、行動に及ぼす影響については未だ多くは明らかになっていない。
本研究では、mTORC1過剰活性による運動への影響を明らかにするため、mTORC1過剰活性の遺伝子改変マウス(以下「mT群」)と、抗生物質ドキシサイクリンを投与することで過剰活性を抑制したマウス(以下「+D群」)、正常野生型マウス(以下「wt群」)に定常トレッドミル歩行を課し運動を観察した。歩行速度は10/15/20m毎分に設定し、小動物用透明トレッドミルを用い下部から高速度カメラで撮影し、深層学習を用いたマーカーレストラッキングにより歩行解析を行った。
歩行周期、ストライド長についてはいずれの肢においても各群および速度帯で差が見られなかった。また歩行周期、ストライド長の個体内ばらつきについてもいずれの肢、群、速度においても差は見られなかった。一方、1歩行周期中の遊脚相占有率は、特に後肢においてmT群よりも+D群、wt群が小さい値を示し、+D群とwt群間には差が見られなかった。この差は15/20m毎分においてのみ確認され、10m毎分では群間の差は見られなかった。
以上の結果から、mT群はコントロール群と比べ高速度での歩行能力が低下しており、すなわち、mTORC1過剰活性による小脳プルキンエ細胞の変性は高度な運動遂行に影響を及ぼす可能性が示唆された。
本研究では、mTORC1過剰活性による運動への影響を明らかにするため、mTORC1過剰活性の遺伝子改変マウス(以下「mT群」)と、抗生物質ドキシサイクリンを投与することで過剰活性を抑制したマウス(以下「+D群」)、正常野生型マウス(以下「wt群」)に定常トレッドミル歩行を課し運動を観察した。歩行速度は10/15/20m毎分に設定し、小動物用透明トレッドミルを用い下部から高速度カメラで撮影し、深層学習を用いたマーカーレストラッキングにより歩行解析を行った。
歩行周期、ストライド長についてはいずれの肢においても各群および速度帯で差が見られなかった。また歩行周期、ストライド長の個体内ばらつきについてもいずれの肢、群、速度においても差は見られなかった。一方、1歩行周期中の遊脚相占有率は、特に後肢においてmT群よりも+D群、wt群が小さい値を示し、+D群とwt群間には差が見られなかった。この差は15/20m毎分においてのみ確認され、10m毎分では群間の差は見られなかった。
以上の結果から、mT群はコントロール群と比べ高速度での歩行能力が低下しており、すなわち、mTORC1過剰活性による小脳プルキンエ細胞の変性は高度な運動遂行に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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