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[02社-口-18]中学校の運動部員数からみる柔道の普及と強化

*Utsuru Hoshino1, Masahiro Tamura2, Yuya Sato3 (1. Waseda University, 2. Teikyo University of Science, 3. Kokushikan University)
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部活動改革によって学校の外へとスポーツ活動の場を移すことが推進されているが、我が国では長いあいだ、学校の運動部活動が中高生年代におけるスポーツの大衆化と高度化を同時に担っていた。すなわち学校運動部活動は、その学校の生徒がその学校にある運動部でスポーツを経験できる普及・教育の場であると同時に、地域から全国規模に至るまで設定されている競技大会を目標として選手を養成し「未来のメダリスト」を発掘するというスポーツ育成・強化の場でもあった。
 ところが、近年、多くのスポーツで少子化などを要因とみる若年層の競技者・愛好者人口の減少が問題化しており、その数によって一定程度の競技力を担保していたはずのボトムも縮小してきている。他方で国や自治体、各競技団体等は、特定の子どもを早期に発掘・育成するという競技力向上政策への転換を図るなど、ユース・スポーツの普及と強化のあり方が大きく変わりつつある。
 本発表で対象とする柔道は他のスポーツと比べても人口減少が顕著な一方で、高い国際競技力を維持し続けている。例えば、日本中学校体育連盟(中体連)の「柔道」加盟生徒数は2001年度に60,198人だったが、2022年度には24,386人まで減少している。一方で、競技力については、例えばオリンピック競技大会で最も多くのメダルを獲得するスポーツであり続けている。ボトムは大きく縮小し続けながらも、トップは一定程度の高い位置を維持し続けているという、柔道は普及と育成・強化が極めてアンバランスなスポーツであるといえる。
 本発表では、2001年から2022年を対象期間として、日本中学校体育連盟の加盟調査や各競技記録などを用いて、中学校の柔道部員数や学校数と、全国中学校体育大会などの競技成績に関するデータを整理し、普及と強化の関係について検討していきたい。

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