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[05バ-口-08]走運動における脚スティッフネスと関節スティッフネスの数理的関係

*Kazuki Kuriyama1, Daisuke Takeshita1 (1. The Univ. of Tokyo)
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ランニングの接地中、脚はバネのように振る舞うことが知られている。そのバネ定数、すなわち脚スティッフネスはランニングの重要な評価指標の一つとして多くの研究が行われてきた。また、スティッフネスは脚を構成する下肢の3関節に対しても定義され、脚スティッフネスと関節スティッフネスは動作要件や環境要因などによってそれぞれ変化することが知られている。しかし、脚全体と下肢3関節の運動の間には明らかな因果関係が存在するにも関わらず、各スティッフネスは共変関係として述べられるに留まることが多い。さらに、それらの数理的関係に触れた研究は存在するものの、大胆な簡略化により十分な理解が得られているとは言い難い。そこで本研究では、セグメント長や関節角度などの解剖学的関係を踏まえて、脚スティッフネスと関節スティッフネスの数理的関係を明らかにすることを目的とした。理論式の導出にはMATLABのSymbolic Math Toolboxを用いた。重心位置と関節角度の関係から求めたヤコビ行列を、重心の微小変位に対する地面反力と関節トルクの仕事が等しいという関係に代入することで、地面反力と関節トルクの関係式を導出した。また、足関節と膝関節を角変位に比例したトルクを発揮するねじりバネと仮定し、脚スティッフネスと関節スティッフネスとの関係を導出した。1名の被験者の走動作データを用いて理論を検証したところ、関節スティッフネスから予測される脚スティッフネスの値は実際の値から10%程度の範囲に収まっていた。理論式からは、接地中の関節角度によって各関節の脚スティッフネスへの貢献度が大きく変わることが明らかとなった。既存の研究では、関節スティッフネスの差異と運動学的な差異による脚スティッフネス変化への影響を区別しなかったが、本研究で得られた理論式を用いることで脚スティッフネスのより詳細な調節メカニズムに迫ることが期待される。

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