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[05バ-口-10]合気道の座技呼吸法における持ち上げ動作の解明

*Yuta Imai1, Toshiyuki Kurihara1, Yoshimitsu Hashizume2, Moe Matsuda1, Taira Kobayashi1, Jun Nishii1 (1. Graduate School of Science and Technology for Innovation, Yamaguchi University, 2. National Institute of Technology, Tokuyama College)
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⽇本の伝統的な武道の一つである合気道には座技呼吸法と呼ばれる、相⼿に両⼿⾸を掴まれた状態から相手を持ち上げる技がある。熟練者はこの技により自身よりも大柄な相手も容易に持ち上げることができる。本研究の目的は座技呼吸法において熟練者が相手を持ち上げる際の身体の使い方を明らかにすることである。
 被験者は合気道の師範クラスの熟練者1⼈(69歳、162cm、57.8 kg、男性)と週3回の稽古を2年間継続的している学⽣1⼈(21歳、173cm、60.5kg、男性)とした。両者の全身14箇所に反射マーカを貼付し、座技呼吸法を行う際の関節軌道を計測した。技をかける側(取り)とかけられる側(受け)は交代して担当し、それぞれ5回ずつ計測を行った。受けが取りの両手首を握り、正座で向かい合った状態を動作開始時の初期姿勢とした。取りが持ち上げ動作を始めた直後に全力で取りの前腕を抑えるように受けに指⽰した。
 取り動作では、いずれの被験者も肘を屈曲して受けの手首を持ち上げ、次に、肩を屈曲して受けの腕を肩の高さまで持ち上げた。この時受けは正座から膝立ちになりながら、取りの両手首を握り続けた。ただし、師範が取りを行った時には肘を外に開きながら腕を持ち上げつつ体幹を伸展し、肩関節⽔平伸展⾓、肩関節外転⾓、体幹伸展⾓の増加量は学生の取り動作に比べ有意に大きかった(p<0.05)。この動作により受け側(学生)の腕は内旋しながら持ち上げられており、肘関節屈曲角、肩関節屈曲角、肩関節⽔平伸展⾓、肩関節外転⾓の増加量は師範が受け動作を行う場合に比べ有意に大きかった(p<0.05)。
 以上のことから、熟練者は肘を外に開きながら腕を持ち上げることで、相手の腕を内旋させて体重をかけにくい姿勢に誘導している可能性がある。さらに、体幹伸展トルクを利用して相手を引き付けることで、相手を持ち上げ易い姿勢をとっていると考えられる。

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