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[06経-口-02]Utilization of Professional Sports Clubs’ Assets in Town Development

*Takashi Matsuhashi1 (1. Takushoku University)
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1993年のJリーグ創設以降、Jクラブやプロ野球球団、Bクラブ等のプロクラブは、経営安定のインセンティブを背景に、フランチャイズ地域との関係構築を積極的に進めてきた。試合開催の興業に限らず地域貢献を含むプロクラブの取り組みは、地域内の市民、企業・団体、自治体の協力を引き出し、スポーツが生み出す地域イノベーションの典型として捉えられてきた。
 2000年代後半以降、プロクラブを活かしたまちづくりを推進したい自治体と、自らの事業拡大のためにまちづくりに関与したいプロクラブが連携協定等を結び、スタジアム開発や様々な事業を、官民協働で行う事例が増加してきた。
 官民協働の要素は大きく分けられ、一方が、自治体が有する施設や土地等の運用をプロクラブに委ねる要素と、もう一方が、自治体およびフランチャイズ地域の課題解決にプロクラブのアセット(ヒト・モノ・ブランド、ネットワーク等)を活かすという要素である。プロクラブのアセットを活かした新たな事業は、プロクラブの事業領域外であることもあり、事業主体がプロクラブ以外である事例もある。「新たな事業」の事業主体が協業者であり、プロクラブは支援する側であれば、プロクラブに関連する多主体による新たな事業が生じることになりうる。
 地域イノベーションの主体であったプロクラブが、官民協働を経て、地域イノベーションを促す側となることは、従来のプロクラブマネジメントの議論では主要テーマとして扱われてこなかったと考えられる。本研究では、Jクラブの鹿島アントラーズと鹿嶋市の事例に着目し、2019年に株式会社メルカリが経営権を取得したことを契機に生じた、メルカリ・アントラーズ・フランチャイズ地域(特に鹿嶋市)の関係とその進展に着目し、その中で生じてきた新たな事業の実態やその成果、また、既存のプロクラブビジネスとの間に生じうるジレンマについて検討する。

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