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[12人-口-02]スポーツを通じた開発からみた異教徒の融和とスポーツフィリピンにおける現地調査をふまえて

*Kyohei Tanada1, Katsumi Mori1 (1. National Institute of Fitness and Sports in Kanoya)
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フィリピンは大多数がキリスト教徒で占められており、イスラム教徒は少数派に属している。マニラ首都圏には、ミンダナオ紛争で難民となったイスラム教徒のコミュニティが多数存在し、各コミュニティ内にモスクが建設されている。このようにマニラ首都圏には、カトリック教会、モスクをみることができ、一見、両者は文化的に共生している。ただ、紛争が発生したミンダナオ島にバンサモロ暫定自治政府が2019年に発足してまだ5年しか経過しておらず、2025年にバンサモロ自治政府が発足するまでは、異教徒間の融和が達成されたとは言えない状況にある。
 先行研究では、イスラム教徒におけるマニラ首都圏への人口動態に関する研究はあるが、キリスト教徒とイスラム教徒の融和にスポーツを通じた開発(IDS)が及ぼす影響ついて論じられている研究はあまりみられない。そのような中で異民族間のスポーツを通じた開発 について、古川(2022)によれば、スポーツはコミュニティ間の和解には必ずしもポジティブな結果をもたらすものではなく、民族間、宗教間の分裂を招くおそれがあるとしているが、スポーツイベントが社会的な結束を高め、またその効果は一定期間持続したとしている。
 この研究以外では異民族間、異教徒間のIDS研究は十分な検証がなされておらず、学術的な知見を蓄積することに意義があると考えられる。
 そこで、本研究では、マニラ首都圏での実地調査、半構造化インタビューを通して、ミンダナオ紛争で半世紀余り対立した歴史のあるキリスト教徒、イスラム教徒の関係性について考察し、異教徒間の融和にスポーツが寄与する可能性について言及する。さらに、フィリピンではどのようなスポーツが融和に適当であるのかを示唆する。

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