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[14介-口-09]ハンドサイクルトレーニング時に起きる傷害の要因と対策の検討
*Kazusa Oki1, Xin Zhu1 (1. University of AIZU)
本研究では、障害者スキーヤーが夏季に行うハンドサイクルトレーニング時の動作を解析し、傷害を誘発する姿勢や道具とのマッチング状況を明らかにすることを目的とした。ハンドサイクルとは、両手でクランクを回転させることにより走行するものであり、手で漕ぐ自転車ともいう。障害者スキーヤーは、このハンドサイクルを用いて、夏季のトレーニングを行っている。我々は、2022年に彼らに対してスポーツ傷害に関するインタビュー調査を行った。その結果、彼らはハンドサイクルトレーニング時に肩関節の腱板損傷等の受傷経験があることがわかった。そこで、本研究では、冬季のパラリンピック出場経験者を含めたシッティング(チェア)スキーヤーを対象に、ハンドサイクルトレーニング時に受傷した経験があるスキーヤーと受傷した経験がないスキーヤーの動作を比較した。側面からの動作解析の結果、受傷した経験のあるスキーヤーは、猫背姿勢と言われる体幹部分が弯曲した状態で終始トレーニングを行っていることが分かった。また、クランクの中心部と肩関節部分を直線で結んだ時、受傷した経験のあるスキーヤーは、クランク中心部と肩関節部分の高さが同程度にあることがわかった。猫背姿勢については、障害により起こる現象であることも考えられる。しかし、この姿勢を長時間継続しトレーニングを行うことにより、身体に不調をきたす可能性があることから、補助具による姿勢のサポートも必要になるだろう。また、この姿勢の要因は、障害だけはなく、スキーヤーの身体的特性と道具とのミスマッチも考えられる。特に、クランクの位置は、スキーヤーのトレーニング姿勢に影響を及ぼす。従って、スキーヤー自身またはサポーターが、トレーニング前にフィッティングを確認する必要がある。このように、傷害予防には、変化し得る障害者の身体的特性を確認し、それに見合った道具や補助具の使用が求められている。
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