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[09方-ポ-57]Technical Study にみるサッカーの戦術的発展過程に関する一考察ワールドカップの戦術分析に着目して
*Ryohei Sato1, Yuuichiro Kondo2 (1. Miyagi University of Education, 2. University of Fukui)
サッカーの戦術は、現在、欧州を中心に刷新され続けている。こうした現状は、雑誌の戦術に関わる記事、インターネット上にある戦術分析の記事や動画として目にすることができる。他にも書籍として、海外のサッカー理論も紹介されている(小澤、2024林、2021;山口、2021)。しかし、これらの変化がどういったものか、については十分に検討することが出来ていない。つまり、先端の変化を捉えるには背景を理解する視点が必要となる。そこで本研究では、FIFAのTechnical Study Group (以下、TSG)によって行われた技術および戦術の分析を基に、サッカーの発展動向について検討し、現在のサッカーの到達点について考察することを目的とする。研究方法は、TSGが分析を始めた1966年のワールドカップから2018年までの『Technical Study』とした。資料を検討する際の視点は、主に技術や戦術の分析に関する部分とした。分析結果として示された各大会の特徴を技術や戦術の特徴に基づき、サッカーの戦術的発展動向について検討し、現代サッカーの到達点について考察した。その結果、現代サッカーの特徴についてTSGは、守備的であると評した1966年大会からにあった「負けないように考える価値観」から、「得点を奪い勝つ価値観」へと戦術的思考方法が転換されていることを示している。このことは、1試合あたりの平均得点率が2.7を切るサッカーのゲームにおいて、チームとして守備を戦術的に整備し、その土台の上に攻撃が構築されていることを意味する。さらに攻撃方法には、カウンターアタックとボールポゼッションの両方が実行可能であることが示されている。つまり、守備から攻撃を構築するという考え方に立てば、カウンターアタックとボールポゼッションの両方の実行が可能となる守備戦術も現代サッカーの特徴となると考えられた。
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