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[13ア-ポ-03]パラ陸上(低身長症)男子やり投選手の投てき意識に関する研究

*Yuichi Yamate1, Naoki Yamashita1, Kensuke Miyahira1, Haruki Uchiyama2 (1. Graduate school Nippon Sport Science University, 2. Nippon Sport Science University)
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やり投において、記録とやりの初速度および助走速度には有意な正の相関関係が認められている(伊藤ら、2006)。また、リリース時の体幹の前傾角度はやりの初速度が高いほど大きいことが指摘されている(村上と伊藤、2003)。これらの知見のもと本研究では、パラ陸上(低身長症)男子やり投選手のパフォーマンス向上を目的とした意識とそれによる動作の変化について検討することを目的とした。公認陸上競技会でのパラ陸上競技選手1名(1.35m、54kg、24歳、最高記録:33m80cm、右投げ)を被験者とし、投てき動作を分析するために3次元DLT法を用いて身体計測点23点とやりのグリップ2点の計25点の3次元座標データを収集した。試合における被験者自身の投てき時の動作の意識およびコーチからのフィードバックの内容を記した。その結果、2投目の試技の前にコーチから「助走速度を少し上げてその勢いのままライナーで投げるように」といったフィードバックを受け、被験者は「ピッチを上げ、やり先を下げる」といった助走局面から準備局面に集中した意識で試技を行った結果、最も低い記録(29m05cm)で、やりの初速度(17.1m/s)および助走速度(4.17m/s)は低く、体幹の前傾は小さかった(7.8deg)。一方、5投目の試技の前に「やりの角度はそのままで、やりを前まで押し込めるように」といったフィードバックを受け、被験者は「角度はライナーでやりを前まで押し込む」といったリリース時に集中した意識で試技を行った結果、最も高い記録(33m53cm)で、やりの初速度(17.5m/s)および助走速度(4.26m/s)において記録が低い試技よりも高い値を示し、体幹もやや前傾していた(10.3 deg)。これらのことから、やり投の記録向上および高い初速度の獲得にはリリース時の意識に集中することが有効であると示唆された。

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