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[03心-ポ-12]大学教養体育における動機づけ雰囲気が批判的思考態度に及ぼす影響スポーツ経験を媒介要因としたモデルの検証

*Junki Torii1, Takumi Nakasuga2 (1. Takarazuka University of Medical and Health Care, 2. Hyogo University of Teacher Education)
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批判的思考とは「論理的且つ客観的で偏りのない思考であり、自分の推論過程を意識的に吟味する反省的思考」と定義されている(楠見,2012)。予測困難な時代を生きるために必要な認知能力の一つとして、大学教育においても注目されている。特に、身体活動を通した共同学習やセルフ・モニタリング(振り返り)など批判的に処理する場面が豊富な体育授業では、学生の「批判的思考」を育む授業展開が求められる。しかし、体育授業には熟達雰囲気や成績雰囲気といった集団が共有する目標(動機づけ雰囲気)の差異が存在する。また、体育授業におけるどのようなスポーツ経験が批判的思考に影響しうるかを含めた包括的な検討が必要になるのではないかと考えられる。これらを踏まえ、本研究では大学の体育授業における動機づけ雰囲気、スポーツ経験、批判的思考態度の関係について検討することを目的とした。大学生352名を対象に、「動機づけ雰囲気」(永田ほか,2015)を独立変数、「体育におけるスポーツ経験」(島本・石井,2007)を媒介変数、「批判的思考態度」(楠見・平山,2013)を従属変数とした仮説モデルを設定し、共分散構造分析を実施した。その結果、熟達雰囲気と成績雰囲気は、自己開示に正の影響を示し、自己開示は客観性に負の影響を示した。次に、他者協力には熟達雰囲気は正の影響、成績雰囲気は負の影響をそれぞれ示し、他者協力は探求心、客観性、証拠の重視に正の影響を示した。続けて、熟達雰囲気と成績雰囲気は挑戦達成に正の影響を示し、挑戦達成は論理的思考への自覚、探求心、客観性、証拠の重視に正の影響を示した。最後に、楽しさ実感には熟達雰囲気は正の影響、成績雰囲気は負の影響をそれぞれ示し、楽しさ実感は探求心に正の影響を示した。

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